これまで60年の人生で数百本のテレビドラマを見てきましたが、オールタイムトップ10を上げる時に必ず有力な候補に入ってくるドラマが『古畑任三郎』と『逃げるは恥だが役に立つ』です。どちらももちろん大ヒットドラマですが、個人的にはどちらも脚本家がお気に入りで、笑いとヒューマンさと社会性の配分具合がちょうど僕の好みに合うというところが共通点です。

　古畑を演じた田村正和が亡くなっていたというニュースはショックでした。若い頃の田村正和はそれほど気になる役者ではありませんでした。田村三兄弟の中では一番気取っていてむしろ苦手な部類の役者でしたが、中年になってから一皮むけて二枚目を逆手に取ったような喜劇もできる良い役者になりました。その代表作となったのが古畑任三郎シリーズでした。

　三谷幸喜も語っていますが、古畑任三郎だけは田村正和なくしてあり得ません。リメイクも無理でしょう。と言うことは、もう古畑の新作は二度と見られないということです。再放送もできない回があるので、残念ですが全部見直すためにDVD-BOXでも買おうかと考えています。

　恋愛ドラマというのは中年以降はどんどん興味が薄れてきました。そんな中、近年の恋愛ドラマで一番面白かったのが「逃げ恥」です。マンガ原作を脚本家の野木亜希子が見事にドラマとして面白く仕立て上げました。そしてなんといっても主演の新垣結衣演じる森山みくりの魅力的なこと。新垣の作品は『パパとムスメの７日間』『リーガル・ハイ』、映画『ミックス』など傑作が多いですが、その中でもやはり「逃げ恥」が一番彼女の魅力を引き出しています。相手役の星野源の受けの演技の良さもあってこそでしたが、まさか本当にその２人が結婚することになろうとは。

　星野源は羨ましい奴だと男としては思いますが、まあ良い夫婦になりそうな気がします。近年の芸能人カップルでこれほど好感度が高い組み合わせはなかなか思いつきません。ただ実際に結婚してしまったとなると、もう「逃げ恥」の新作はかえって難しいかも知れないなと思います。そしてこの２人、好感度が高いだけに不倫とかDVとか離婚とかになったら大変でしょう。芸能人の好感度が高いのも本人たちにとっては枷となってしまい善し悪しなことも多いですから、あまりイメージを守るために無理をしないで欲しいなと思います。