幹事クリタのコーカイ日誌2021

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2月11日 ● 懐かしいVWビートルの広告。

 誕生日プレゼントでいただいたチョコレート。紙袋がVWだったので「?」と思いました。普通はゴディバとかピエールマルコリーニとかチョコ好きなら喜ぶ定番がありますが、なぜ自動車メーカー?と思って開けたら「TOOL KIT」と書いてあって、ますます「?」が増えてしまいました。さらに開けるとパッケージが工具箱。その中にビートルをかたどったチョコレートが入っていました。モロゾフがVWとコラボしたバレンタインデーキャンペーンのチョコでした。

 僕が車好きなのでわざわざ選んでくれたのですが、その工具箱の裏に描かれていた絵が、小さなチョコ色のビートルと「Think sweet.」のコピー。これは往年のVWビートルの有名な広告のパロディ、というよりはオマージュでしょう。車好きだけではなく、広告クリエーターにとっても心に刺さる素敵なパッケージでした。

 僕がコピーライターになった1983年は、期せずしてコピーライターブームが世の中に巻き起こっていた時でした。とは言っても僕は特にコピーライターを志してなったわけではなく、広告代理店に就職したらその部署に配属されてしまっただけで、右も左もわからないままにイチから広告の勉強をしました。その時に広告の「お手本」として示されたのが、このVWビートルの広告でした。

 アメリカのVWが1959年から長年にわたって展開してきた広告シリーズで、シンプルなデザインとシンプルなキャッチコピー。商品の特長をきちんと伝える過不足のないボディコピー、品位を保ちながら親しみやすさもあり、まさにお手本とするに相応しい広告でした。特にボディコピー。新聞・雑誌広告がマイナーになってしまった今ではボディコピーなんてない広告が多いですが、昔のコピーライターの力量はボディコピーでこそ競われたものです。

 それから32年間コピーライターをやりましたが、広告制作から離れて早や6年が経ちました。すっかり忘れかけていた新入社員当時の気持ちがこのチョコレートのパッケージでぶわっと甦りました。定年の時だからこそ余計に心にくるものがあります。「エモい」というのはこういう時に使うのでしょうね。



 
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