幹事クリタのコーカイ日誌2021

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1月23日 ● みんなマスクをしている「俺の家の話」。

 宮藤官九郎がTBSでドラマを書く。これだけで見るに値します。「池袋ウエストゲートパーク」「木更津キャッツアイ」「マンハッタンラブストーリー」「タイガー&ドラゴン」「吾輩は主婦である」「流星の絆」「うぬぼれ刑事」「ごめんね青春!」「監獄のお姫さま」。TBSのクドカンドラマは傑作ぞろいです。クドカンの傑作ドラマと言えばTBSか、じゃなければNHKです。しかも磯山晶Pと組むとなるとさらに期待度は上がります。そして主演は長瀬智也。見るしかありません。

 初回を見始めたらいきなり長瀬演じる主人公のプロレスラーが自分のプロレス歴を回想するところから始まりました。いかにもクドカンらしい時間巻き戻しシーンで、プロレスの小ネタをふんだんに盛り込んでいて、実にワクワクしました。ところがクドカンらしさが爆発していたのはそこまでで、その後の展開は妙にシリアス。父親役の西田敏行が危篤というところから、家業の後継、家族の不仲、相続、介護、学習障害、後妻業の女まで現代的な問題が次々と放り込まれて、問題の渋滞を起こしています。コメディをやる暇がありません。

 クドカンのドラマにしてはちょっと笑いどころが少なくて残念でしたが、いつもテンポが出始めるのは遅い作家ですから最初は付き合っていくしかありません。ただそれより気になったのはメインテーマの介護について。いくらドラマだからとは言え、車椅子でおむつなのに要介護1のわけないだろうとか、そもそも介護申請もしていないのにどうやってデイサービスに通えていたのかとか、ヘルパーやケアマネジャーはあんな言動をしたりしないんじゃないだろうかとか。自分の親の時のことを思い出すと「あり得ない」と感じてしまったのは、ドラマを見ている上で大きなマイナスでした。

 これまでも警察ドラマや医療ドラマなどで「そんなことはないだろう」という話はいくらでもありましたが、特殊な職業ではなく、誰にでも起こり得る介護についてなのですから、より現実にきちんと合わせた整合性の高さが必要でしょう。もっとも、実はヘルパーの戸田恵梨香とケアマネの荒川良々がグルでデイサービス自体が偽物だから辻褄が合わなかったんだ、ということも考えられますから、あまり結論を急ぐのはやめましょう。クドカンがそんな粗雑な脚本を書くとも思えませんし。

 最後に。このドラマでは登場人物がみんなちゃんとマスクをしています。2021年の、今の状況をきちんと描いています。マスクを誰もしていない現代ドラマを見ると、いったいどこの世界の、いつの時代の話なんだろうと昨年からずっと思っていましたから。


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