幹事クリタのコーカイ日誌2020

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10月9日 ● テニスの冷静と情熱のあいだ。

 「冷静と情熱のあいだ」というのは江國香織と辻仁成の小説で、映画にもなったので知っている人も多いでしょう。僕も名前は知っています。ただ小説は読んでいないし映画も見ていません。そういう人も多いと思います。なによりタイトルのキャッチーさが秀逸で、そのタイトルの冴えだけで満足してしまったので、実際に作品に触れようという気にはなれませんでした。

 先日フェデラーの1年くらい前のインタビューを見たのですが、そこで彼が熱い闘志と冷静な頭脳がテニスは必要だ、というようなことを言っていて「おお、まさに冷静と情熱のあいだなんだ!」と感動しました。小説のタイトルなら単にキャッチーだなと思うだけなのに、フェデラーの言葉となると「名言!」と思ってしまうところがテニスおたくです。いや、元コピーライターですからキャッチーなフレーズにももちろん敏感に反応はするんですけど。

 最近になって感じることは僕のテニスは冷静さが勝ってしまって情熱が少々足りないかなということです。元来分析するのが好きで、テニスの試合中でも常に相手の長所短所、性格や好み、調子、心理状況などを観察しています。それはもちろん試合に勝つには必要なことなのですが、やはりテニスというのは対人競技だけに、まず相手に「絶対に勝つ」という熱い気持ちが大事であり、その気持ちの強さなしでは特に競り合った時に勝ちきれません。

 僕ももちろんゲームは好きなので負けたくはないのですが、負けず嫌いかと言われると微妙で、負けて悔しいのはその瞬間だけで3分もすればすぐに平静に戻ってしまいます。いつまでも悔しがっている人を見ると「ああ、自分にはあそこまでの勝ちに対する執念がないな」と反省します。僕が好きなのは勝つためにあれこれ工夫したり策を練ったり駆け引きをすることで、勝負の結果よりもその過程が楽しいのです。

 テニスに限らずプロのアスリートはみな口を揃えて「負けず嫌い」な性格だと言います。それも半端じゃないレベルの負けず嫌いなのだと思います。間違ってそういう勝負の世界を目指さなくて本当に良かったです。絶対に大成しなかったはずです。もちろん、そもそもそれだけの才能にも恵まれなかったので目指すはずもなかったのですが、もし中途半端に才能と環境に恵まれていたらかえって辛かったかも知れません。


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