全仏オープン２回戦で錦織がフルセットの末に敗れました。4時間近い試合を最後まで見ていましたが、チャンスもあっただけに惜しい敗戦でした。相手が74位のトラバグリアでしたから、本来の錦織の力をもってすれば勝って当然なのですが、なにせ１年ぶりにツアーに復帰したばかりです。まだまだ体調も試合勘も戻っていないという感じでした。

　それでも初戦のエバンズ戦よりは良くなってきているように見えました。初戦も２回戦もフルセットでしたが、調子の浮き沈みが激しかった初戦よりは２回戦の方が全体に安定した試合をしていたと思います。もちろんサービスもストロークも本来の出来ではありませんでしたし、体もクレーでのフルセットを戦い抜くにはまだ仕上がっていないという印象ではありましたが、この休養期間中に新しい武器にしたというネットプレーが冴えていて、クレーであれだけネットに出られるというのはなかなかスゴいことだと思います。

　これで短いクレーシーズンも終わって、今後はハード、インドアのシーズンに入っていきます。錦織にとっては得意なコートですし、球足が速いのでよりネットプレーも威力を発揮することでしょう。30歳とベテランの域に入り、20代前半の若くて大型のプレーヤーがどんどん台頭してきている現在、錦織のネットプレーは彼らに対抗するためには必要なオプションです。完全復活までもう少し時間はかかるでしょうが、楽しみに待ちたいと思います。