将棋の藤井聡太棋聖が王位戦七番勝負の第4局で、木村一基王位に勝ち、シリーズ4連勝でタイトルを奪取しました。これで棋聖とあわせ二冠となり、タイトル2期獲得の規定により八段に昇段。18歳1カ月での二冠と八段昇段は、いずれも最年少記録となります。二冠も八段も時間の問題だろうとは思っていましたが、ここまで速いとはやはり驚きです。もうフィクションの世界を飛び越えたような凄さに震えます。

　 この王位戦では初参加の挑戦者決定リーグで羽生善治九段ら5人に全勝して挑戦者決定戦に進出、決定戦で永瀬拓矢二冠に勝ち、予選から10戦無敗で挑戦権を獲得しています。そしてシリーズでも無敗の４連勝ですから、まさに無敵状態。藤井二冠も人の子ですから時々は負けていますが、「ここぞ」のところでのこの勝負強さはやはり天才というべきでしょう。

　どんな世界でも天才と呼ばれる人はみなこうした異常なまでの勝負強さを発揮して見せ場を作り伝説になってファンの心をつかみます。野球の長嶋茂雄、サッカーのペレ、バスケットのマイケル・ジョーダン、ゴルフのタイガー・ウッズ。かつて見てきたこうした「神」に近い天才たちと同じような匂いをいま存分に発揮しているのが藤井二冠です。

　もちろんまだ伝説は始まったばかりです。なにせ18歳。どんな天才もスランプに陥ったり、落とし穴にはまったりすることもありますから、藤井二冠にも今後なにが起きるかはわかりませんが、それを乗り越えて羽生九段の数々の大記録に挑んでいく姿を楽しみにしたいと思います。