幹事クリタのコーカイ日誌2020

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8月12日 ● ピアノあるある『ヤクザときどきピアノ』。

 書評で読んですぐに購入した鈴木智彦『ヤクザときどきピアノ』。52歳の手習いでピアノを始めた著者と彼を教えるピアノ講師レイコ先生の話なのですが、とにかく文章が面白くて、あっという間に読めてしまいます。ピアノや音楽に興味がない人でも多分楽しく読めると思いますが、僕のように50歳からピアノを習い始めた人間にはあまりにも内容がドンピシャ過ぎて、感動して思わず二度読み返してしまいました。

 著者はヤクザの実録ルポを本業とするライター。そんな彼が映画「マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー」を観て「ダンシング・クィーン」を弾きたくなりピアノ教室に通い始めます。 ピアノ教室探しのところから最後の発表会まで、とにかく僕にとっては「あるある」の連続で、先生とのやり取りも、電子ピアノ購入も、両手が同時にしか動かせないことも、下手なりに曲が弾けたときの感動も、発表会のド緊張と失敗も、全てが自分のことでした。

 ピアノに関する蘊蓄もたっぷり入っているし、笑いと毒と、そして涙を誘うような感動も加わっていて、エンターテインメントとして素晴らしい上に、最後に読者特典として著者の発表会の演奏動画まで見られます。これがまた典型的なよく見る初心者の発表会演奏で、「練習の時はもっとちゃんと弾けたんだ!」と言いたくなるような失敗ぶり。本当にリアルでした。

 僕も丸9年もピアノを習っていますが未だに初級者の域から抜け出せず挫けそうなこともありますが、改めてピアノの難しさと楽しさを思い出させてもらいました。そして著者が強く主張しているように、練習は裏切らないこと、先生との相性が大事なこと。これは僕も以前から感じていたので間違いありません。ピアノを習いたい大人と、ピアノを教える先生も必読の良書です。


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