幹事クリタのコーカイ日誌2020

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6月27日 ● 欲は年齢で変わる。

 若い頃に欲しいものは具体的でした。物欲と性欲が最たるものですが、自己顕示欲もそれなりに強かった気がします。僕だけではなく周りもそんな若い連中でいっぱいでした。多くがギラギラしていました。またそういう欲まみれなことについての苦しみもあり、もっと欲にとらわれずシンプルに楽に生きられないのだろうか、というのもまた悩みの一つでした。それもまた欲のひとつではあるのですが。

 中年になると欲求も多様化します。人によって方向性が定まってくるからです。自分ができることとできないことがハッキリしてくるし、諦めることもできるようになります。あれもこれも、という人は少なくなり、出世や権力欲に取りつかれる人もいますし、金銭欲にこだわる人、性欲にとらわれる人、刺激をひたすら求める人、物欲にしても自分なりにジャンルが特化していきます。僕の場合は権力欲はありませんでしたし、金銭欲もそこそこで十分、とにかく自由に我儘に生きていたいという欲求がどんどん強くなりました。会社という組織の人間であることの葛藤が一番強かった時期です。

 そして50代も後半になりサラリーマン生活も先が見えてくると、もうその葛藤も消えていきます。なにせ周りは後輩ばかりになってくるので結構我儘も言いやすくなっていますし、今さら大きな期待もかけられませんから気楽なものです。人付き合いも無理しないので、友人「らしき」人の数は減っていきますが、気の合う好きな人だけいればそれで良いので全然気になりません。若い頃に願った「欲求からの解放」に少し近づいてきているような気もします。

 ただまだ仙人か聖人のようになったわけではありません。少しギラギラがなくなっただけで悟りを開いたわけではないので、相変わらずつまらない欲求にとらわれて失敗は繰り返しています。それに70代や80代の人生の諸先輩を見ていると、まるで子どもに戻ったかのように我儘放題の困ったジジババも多いので、年を取れば取るほど欲がなくなるということでもなさそうです。

 今の「欲」はテニスや音楽が上手くなりたいということ。それは誰かに勝ちたいとか負けたくないという類ではなく、純粋に今の自分を上回りたいという欲求です。なんだか妙にストイックな老人になりそうで、それはそれで我ながらちょっとイヤです。


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