僕が住んでいる八事という街は名古屋の南東部に位置する住宅地です。結婚した年にここにマンションを購入してから早や34年。生まれ育った故郷よりもずっと長く住んでいますし、マンションも買い替えたことですから、恐らく死ぬまでここで生活をすることになるのでしょう。

　ただ34年間住んでいると言っても、やはり子どもの頃から住んでいる訳ではないので、どこか「よそ者」意識があります。地元の小学校にも中学校にも子どもたちは通いましたし、妻はずっとPTAなどで学校に出入りしていましたが、僕自身はあまり縁がありませんでしたから「地縁」がほとんどありません。未だに子どもの頃に住んでいた実家の方が、母親もいますし地縁は濃い状態です。

　さすがにこれだけ長く住んでいて地元を知らないというのもなんだかなぁと考えていて、最近は散歩で地元を丁寧に歩くことにしています。八事は歴史ある門前町なので、由緒がある史跡や寺社仏閣も周囲に多く、また明治期に別荘地として開発されたところでもありますから、今でも名古屋有数の高級住宅地であり、さらに戦前は行楽地でもありました。

　そうした資料を読んで歴史を知り、その場所へ歩いて向かい、史跡を訪ねてみるという「ひとりブラタモリ」をここのところ楽しんでいます。人もほとんどいませんから、感染の心配もありません。特に行楽地として栄えた施設（遊園地、野球場、競馬場、ボート池など）は、いまはほぼ全てなくなってしまっているので、傍から見れば単なる住宅地をぶらぶら歩いているオジサンにしか見えないことでしょう。これから夏になりますし、より気分を盛り上げるためにタモリのようにサングラスをかけて歩こうかなと考えています。残念ながら一緒に歩いてくれる女子アナはいませんけど。