幹事クリタのコーカイ日誌2020

[ 前日翌日最新今月 ]

3月17日 ● 実写版「翔んで埼玉」の感想。

 先日の日本アカデミー賞で3部門も最優秀賞を受賞したコメディ映画「翔んで埼玉」。30年以上前に読んでいた原作ファンとしては、今さらの実写化は微妙な気持ちだったのですが、これだけ評判になると見ざるを得ないという気持ちで見てみました。一番心配だったのは魔夜峰央のあの独特の世界観をどこまで表現できているか、という点に尽きるのですが、それは「まあまあ頑張った」という感じでした。

 「まあまあ」という評価になるのは、日本映画の予算ではこれが限界かなというのが見えてしまうからです。ハリウッド映画の予算があれば本気でセットも金をかけられるし、CGにしたってもっとレベルが高いのは間違いありません。ただ垣間見えてしまうチープさがこの映画の味にもなっているわけで、そのバランスをどう受け止めるかは個人の主観になってしまいます。僕としてはチープなところも含めての面白さだと感じました。

 主演ふたりのキャスティングは合格。GACKTは他にいないのではないかと思うほどのはまり役でしたが、あと10歳若い時だったら完璧でした。中年感がどうしても出てしまっているので、貫禄がありすぎます。二階堂ふみは若手女優の中では「怪優」の部類に入ります。女・山田孝之です。女優が演じるなら二階堂を超えるのはかなり難しいでしょう。ただ本当はやはり男性が演じられればその方が良かったのではないかという気がします。

 脇役も豪華でコメディらしくキャラが立っていました。伊勢谷友介や京本政樹といったいかにも魔夜作品に相応しい役者が出ていますし、中尾彬、加藤諒、益若つばさ、武田久美子、麿赤兒、そして竹中直人という癖だらけの俳優陣も光っていました。逆に現代パートの島崎遥香、麻生久美子、ブラザートムという普通の人たちとの対比も良いキャスティングだったと思います。

 原作が未完なだけに映画オリジナルの部分がたくさんありましたが、原作への愛情はしっかり感じられて原作ファンとしても満足できる映画ではありました。ただ前半の展開がちょっとモタモタしているのが残念。後半からクライマックスにかけてはテンポも良くなり見ていて楽しめました。もっとも日本アカデミー賞の最優秀賞作品賞はこれではなく「新聞記者」で正解だったとは思いますけどね。


gooブログでも読めます「幹事クリタのコーカイブログ」

テニス好きなら「幹事クリタのテニス日誌」