幹事クリタのコーカイ日誌2020

[ 前日翌日最新今月 ]

2月28日 ● 音楽教室とJASRAC。

 新型コロナウィルスの話題一色になっていますが、世の中はそれ以外にももちろん様々な動きがあります。その中でヤマハなどの音楽教室から著作権料を徴収しようとするJASRACに対し請求権がないことを音楽教室側が確認を求めた著作権裁判の第一審判決が東京地裁から出て、音楽教室側の訴えが退けられました。

 このまま判決が確定すればJASRACは音楽教室から年額受講料収入の2.5%を著作権料として払うように求めていくことになります。この著作権料は当然受講している生徒側の負担に上乗せされてくるでしょうから、仮に月額1万円の月謝なら10250円に値上げされるわけで、ピアノとサックスのレッスンに通っている僕としても他人事ではありません。

 JASRACが請求できるのはJASRAC管理曲を使ったレッスンの受講料収入に対してですから、著作権切れしたクラシック曲や作者不詳の曲などをレッスンで使えば請求できません。実際に密室で行われているレッスンでどんな曲を使用しているかまで確実に把握できるわけもないのですから、一律に2.5%徴収されたら生徒側からしたら「払い損」になる可能性が大きいです。

 そもそも音楽教室のレッスンでの演奏は聞き手に感動を与えることを目的とする演奏ではないし、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的としたものではありません。講師が演奏をすることは少なく、大抵の場合は生徒が下手な演奏を延々と繰り返しているだけで、感動どころか「しずかちゃんのバイオリン」レベルの我慢大会のような演奏がほとんどです。それに対して著作権料を請求するのは無理ではないかと思いますが、地裁がこういう判決を出したということは、法律の専門家はそうは考えないのでしょう。一般の感覚と法律家の感覚にズレがあることは多いですが、これも不思議な話です。

 音楽教室側は多分控訴することでしょうから、実際にJASRACに払うことになるのはまだしばらく先だろうと思いますが、もし本当に著作権料を音楽教室が払うことになったとしたら、まずは楽器店などが経営している取りやすい大手音楽教室からでしょう。僕はいま小さな音楽教室に変わったので、しばらくはお目こぼしとなると思いますが、いつかそれもJASRACに目をつけられて黒服にサングラスの怖い人が取り立てに来る日が訪れるのかも知れません。まるで映画のような話です。


gooブログでも読めます「幹事クリタのコーカイブログ」

テニス好きなら「幹事クリタのテニス日誌」