遠征したマレーシアで交通事故に遭ったバドミントンの世界１位桃田賢斗が帰国しました。桃田は顎部裂傷、眉間部裂傷、唇裂傷、全身打撲ということですが、それでも同行していたトレーナーは腕を骨折し、運転手が死亡した大事故だけに、これくらいの怪我で済んだことは不幸中の幸いだったと言えるでしょう。

　とは言え、東京五輪を夏に控えたこの時期での怪我は間違いなく大きな悪影響を与えます。体の方は１ヵ月程度で練習に戻れるということですが、トップアスリートが１か月練習できないというマイナスは相当のものでしょう。そして何よりメンタル面が心配です。

　桃田は前回のリオ五輪の出場を逃しています。オリンピックの直前に違法カジノで賭博行為をしていたことが発覚して無期限の試合出場停止処分を受けました。あれから４年、世界１位となってついに迎える地元でのオリンピックだけに桃田の心中に期するものは大きいことでしょう。それだけに今回の事故で桃田が受けたショックの大きさもまた相当なものだと思います。

　他人からでは窺い知れない内面の葛藤があることでしょうが、桃田がこの逆境を跳ね返して再び立ち上がる姿を我々はただただ期待するしかありません。