幹事クリタのコーカイ日誌2019

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10月30日 ● アナログはアナクロではない。

 文化庁が毎年調査発表している国語に関する世論調査で、「御の字」「憮然」「砂をかむよう」などの言葉が誤用されているということを発表して話題になっています。今さらですが、誤用も過半数が用いるようになれば誤用ではなくなってくるのが言葉というもので、「砂をかむ」のが「唇をかむ」から連想して悔しい様子だと思っている人が多くなってきたとしたら、もう間もなくそれが正しい日本語になってしまうのでしょう。

 で、このところ違和感があるなぁと思っているのが「アナログ」という言葉の使い方。最近どうも「古臭い」とか「時代錯誤」とか、そういう感じで使われていることが多いように感じます。「あの人はアナログ人間だから」とか「それって随分とアナログだよね」とか。言いたいことはわかりますが、アナログは「デジタル」の対義語であって「時代遅れ」という意味ではありません。

 アナログとは「数値を長さ、角度、電流といった連続した物理量で示すこと」で、デジタルは「連続的な量を、段階的に区切って数字で表すこと」です。ですからアナログは決して古臭いとか時代遅れという意味ではありませんし、デジタルが進んでいるとか現代的という意味でもありません。アナログ時計とデジタル時計の違いは表示方法の違いで、先進性の差ではないのです。

 時代錯誤を表す本来の言葉は「アナクロ」(アナクロニズム)です。恐らくアナログとアナクロが似ているから、こうした誤用が広まってきているのだろうと思いますが、我々の年代ならまだしも、若い世代は「アナクロ」という言葉をあまり使わなくなってきているようなので、この先は「アナログ」が「アナクロ」の意味で使われることがますます増えそうな予感がします。


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