幹事クリタのコーカイ日誌2019

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7月13日 ● フェデラーvsナダルという極上の逸品。

 ウィンブルドン準決勝の第2試合はフェデラーとナダルの宿命の対決でした。これまでに数多くの対戦をしてきたこの2人ですが、なんとウィンブルドンでの対決は2008年の決勝以来だということで驚きました。あの2008年の試合は今でもよく覚えています。かつてのボルグとマッケンローの1980年、1981年の対決を上回るライバル対決と言えば、2007年、2008年のフェデラーとナダルの対戦でした。

 あれから11年。まさかまだこの2人が世界のトップランカーとして生き残っていること自体が驚きです。ただし、決勝ではなく準決勝であるということが、11年の歳月をわずかに感じさせる部分ではあります。まあ決勝で待ち受けているのもジョコビッチですから、これも11年前から「第3の男」として控えていた選手であることには変わりありませんが。

 それよりも驚くのは11年前ですらフェデラーはすでに全盛期を過ぎた感があったにも関わらず、2019年のフェデラーの方が強いのではないかと思わせるプレーの質の高さです。かつてはナダルにバックハンドを攻められると、浅いボールを打たされてナダルのフォアハンドの強打で決められるというワンパターンで敗れていましたが、現在のフェデラーのバックハンドははるかに進歩しています。ナダルに対してバックハンドをトップスピンで打ち返し、長いラリーでポイントを奪っていきます。まさに覚醒したバックハンドでしたし、そのバックハンドを武器に使うことでフェデラーの多彩なテニスの幅が一層広がっています。

 それに対してナダルのストローク力は相変わらず強力でしたが、11年前との比較で言えば目立った進歩はありません。その代わり、ナダルのサービスは以前よりはるかにスピードが増して強力な武器になっていました。昔のナダルのサービスは回転を多くかけて入れにいっているだけで、サービスでポイントを奪うというレベルの武器ではありませんでした。しかし、現在のナダルのサービスは190km台で、エースを奪えるレベルです。

 フェデラーもナダルもお互いの弱点を強みに生まれ変わらせての対戦ですから、当然質の高い試合になりました。テニスファンとしては堪能するしかない極上の試合です。これほど楽しめる試合はやはりこの2人でなければ生まれないだろうと感じました。結果はフェデラーが上回りましたが、結果よりもこんな素晴らしいテニスを見せてもらえただけで嬉しいし、2人に感謝したいと思います。

 37歳と34歳という2人の年齢を考えたら、もうこんな素晴らしい試合を見ることは難しいのではないかと思いがちですが、なにせ規格外の2人だけに、未来のことはどうなるか、安易な予想はできません。まずはフェデラーとジョコビッチの決勝が素晴らしい試合になることを期待したいと思います。


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