幹事クリタのコーカイ日誌2019

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7月11日 ● フェデラー戦で感じた絶望と希望。

 ウィンブルドン準々決勝。完全に予想通りの勝敗となり、準決勝はジョコビッチvsアグー、ナダルvsフェデラーという組み合わせになりました。ジョコビッチは当然余裕で決勝に勝ち上がることでしょう。そしてナダルとフェデラーの激戦で疲れた勝者を、体力に余裕があるジョコビッチが撃破して連覇達成という筋書きが見えます。と言うか、ドローが決まった時点ですでに見えていたというべきでしょう。

 さて、その筋書きひっくり返す微かな期待を持たせてくれたのが錦織でした。フェデラー戦の立ち上がりは完璧でした。リターンが冴えわたりあっさりサービスをブレイク。その勢いを保ったまま第1セットを奪いました。やはり体力を残して勝ち上がると強いぞ錦織、このまま第2セットも取れたらいけるぞ、という期待が日本中のテニスファンの間で巻き起こったはずです。

 ところがそこはフェデラー。第2セットの立ち上がりからいきなりギアを上げてきました。錦織のリターンのタイミングを外すようなサービス。そして精度がぐっと増したストローク。フェデラーの芝での適性の高さと、技術の引き出しの多さ。錦織はなすすべなく2セット目を奪われてしまいました。その後はフェデラーのいつもの余裕のテニスです。常に錦織のサービスにプレッシャーをかけ続け、錦織はキープできてもヘロヘロでリターンゲームで余力がありませんから、フェデラーが簡単にサービスキープを続けます。スコア上は競っていましたが、内容的には錦織に全く勝機が見えない完敗でした。

 芝のフェデラーに勝つというのはジョコビッチとナダル以外にはかなり難易度の高いことです。錦織が第1セットのテニスを続けられたらと思いますが、フェデラーが本気を出したらやはり芝では敵ではないというのを思い知らされました。錦織は途中から絶望しながら戦っていたと思います。反面、芝でなければフェデラーに勝てる可能性は感じられました。特に錦織が得意な全米ならフェデラーとも互角に戦えるのではないかという希望も見えた気がします。リズムの速い錦織のテニスはイレギュラーのない全米でこそ力を発揮します。フェデラーだけではなくナダルとも十分に戦えることでしょう。

 問題はジョコビッチです。芝じゃないフェデラー、土じゃないナダル相手なら錦織は互角でも、ジョコビッチ相手となると全てのコートで劣ります。なので、やはり大事なのはドロー運です。全米では3強と違う山になること、準決勝の相手がジョコビッチではないこと、そしてジョコビッチが決勝に進出する前にどこかで足を掬われること。あとは今回のウィンブルドンのように相手に恵まれて体力を消費せずにセカンドウィークに勝ち上がることも肝要です。それだけ条件が揃ってようやくグランドスラム初制覇の希望が見えてきます。

 なんとも確率的に低い希望です。やはりジョコビッチが故障で休んでいた2017年後半から2018年前半の間に勝っておえば、いや、2014年全米決勝でチリッチに勝っておけば良かったのに、と思わざるを得ません。


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