幹事クリタのコーカイ日誌2019

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7月2日 ● 夫婦別姓と経済成長。

 安倍首相の言動には本当に感心しないことばかりですが、今回の「夫婦別姓は経済成長とは無関係」発言は、過去のそれらに比べてもかなり稚拙な部類に入ると思います。かいつまんで言えば、枝野代表が「選択的夫婦別姓は女性の社会参画のために不可欠」と言う発言をして、首相に見解を求めました。これに対して首相は「いわば夫婦別姓の問題ではなくて、しっかりと経済を成長させ、みんなが活躍できる社会を作っていくことではないか」と相変わらず質問をはぐらかしてまともに答えませんでした。

 仕方ないので司会が「今のご返答は『選択的夫婦別姓はいらない』というご返答でよろしいでしょうか」と再度見解を求めたところ、安倍首相は「いわば経済成長とは関わりがないというふうに考えています」と返答したということです。夫婦別姓の問題は女性の人権問題であるにも関わらず、経済問題に話をすり替えようとしていることは明らかですが、もちろんこんな答えでは炎上するに決まっています。経済成長に役に立たないから女性の人権はどうでも良いと言っているようなものですから。

 もともと安倍首相は選択的夫婦別姓には反対論者です。しかし「男女共同参画社会」を推進している立場としては、そうハッキリ言うわけにもいかないし、参院選を前に悪影響が出ることを恐れて、敢えて話をすり替えようとしたのでしょう。大失敗の巻です。女性の人権についてはどうせ票にもならないからと思っているのかも知れませんが、人権を金の話にすり替えるのは悪手でした。

 女性が結婚で姓を変える不利益は測り知れません。強制的に自分の名前が変わるという精神的な苦痛だけではなく、変更のための手間とコストがかかりますし、それまでの姓で築いてきたブランド価値を毀損します。多くの働く女性が旧姓との使い分けをしていますが、それもまた大変に面倒なことです。そういうロスを考えたら選択的夫婦別姓の方が経済的観点から考えてもむしろ合理的だと思われます。単純に考えても女性が社会参画しやすくなるのですから経済成長にはプラスでしょう。

 まあこうした失言をどれだけ繰り返そうとも、支持率は大きく下がったりしないし、自民党の中から「安倍おろし」が始まるわけでもないのですから、安倍首相は悠々たるものでしょう。いくらなんでも、もう少しまともな政治家が与党にも野党にもいるだろうと思うのですが。


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