幹事クリタのコーカイ日誌2019

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6月27日 ● 税金泥棒とは誰のことか。

 ホリエモンが年金デモをしている人たちに対して「税金泥棒」とツイッターで言い放ったことでまた炎上しました。炎上芸の人に文句を言うのは喜ばせるばかりのような気もしますが、ホリエモン的には「納税額より給付されている額の方が多い連中は税金泥棒だ」という意味だったようです。もちろんこれは明らかに間違った理屈で、そんなことを言ったら納税額の多い人ほどいろいろな便宜を図ってもらえる特権を享受することができ、納税できない人は生存権すら失ってしまいます。

 人は生まれながらに生きる権利がある、というのが基本的な人権の考え方であり、憲法にも明記してあります。国家はそのためのある種、相互扶助組織であると考えられているのが近代国家です。そういう理屈がなければ社会保障というものは全て「税金泥棒」のためのものになってしまいます。国家は相互扶助組織だから、お金を稼いだ人はそれに応じてお金を出し、老人や障碍者や病人などの社会的弱者を助けるわけです。国はそういうお金を国民から預かることによって、全ての国民の生命と財産を守るという理屈は中学生だって知っています。

 だから社会的弱者を強者が「税金泥棒」などと詰るのは、本当に何のために国があり政府があるのかということを理解していない証左です。払った税金の分だけ自分が優遇されなければならない、などと考えている人間は、暗黒時代と呼ばれる中世ヨーロッパ史と、そこから近代化してきたロックやカントなどの西洋思想史を学びなおすべきです。

 まあ今回のホリエモンの発言があまりにも無知、不勉強で頭が悪すぎるという批判は、いくらでもネットを探せば出てくるのでこれくらいにしておきますが、では本当に「税金泥棒」と批判されるべきは誰なのか、ということです。今回の場合、普通に考えれば莫大な年金の原資を溶かしてしまった厚生省の役人たちであり、彼らと結託していた厚労族と呼ばれる国会議員たちでしょう。

 これまで集めた年金を湯水のごとく使い尽くした悪事の数々もいくらでも調べれば出てきます。有名なグリーンピアを筆頭に、多くの天下り組織を作っては年金から給与や退職金をガバガバと役人たちに払ったりとやりたい放題でした。足りなくなってから税金を年金に投入して、今さら高齢化社会でとか言い訳をしていますが、そんなことは30年以上前からわかっていたことです。

 年金に限らず国の不当な税金の支出や、失政による補填こそが「税金泥棒」と呼ばれるべきであり、その税金泥棒ぶりが目に余るのが安倍政権なのですが、ホリエモンもロケットのお金を税金から出してもらっている手前、政権批判はせずにデモをする人々を攻撃するわけです。


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