NGT48の山口真帆、長谷川玲奈、菅原りこの合同卒業公演「太陽は何度でも」が異例づくしの卒業公演となりました。普通の卒業公演というのは、みんなでワイワイと楽しく思い出の曲をパフォーマンスして、サプライズゲストもあり、涙もあって、ちょっとセンチメンタルになりながらもハッピーに終わるものです。

　ところがそもそも最初から卒業する３人だけの公演と発表されたことも異例なら、セットリストもオープニングこそNGT48の「Maxとき315号」だったとは言え、以降は「ファーストラビット」、「完璧ぐ〜のね」、「ウインブルドンへ連れて行って」「残念少女」「ハート型ウイルス」「キャンディー」などなど、AKB48や派生ユニットの曲ばかり。それも懐かしい公演曲が多く、古参ファンなら「神公演」とも呼びたくなるようなセットリストです。

　敢えてNGT48の曲を外しただけではなく、途中にサプライズゲストでNGT48のメンバー５人が登場しました。これが山口派とでも呼ぶべきファンとの「繋がり」がないメンバーばかりなのでしょう。逆に言えば呼ばれなかったメンバーは「黒」認定されてしまうわけで、深い溝がメンバー間であったことを示す強烈な山口からのメッセージとなりました。

　そしてこの５人と卒業する３人の８人で披露したのが、なんと欅坂46の最新曲「黒い羊」。「そうだ僕だけがいなくなればいいんだ」「僕は厄介者でしかない」などの歌詞がそのまま山口の思いを表現しています。それまでのアイドル王道ソングの連続からの突然なメッセージソング。なんという強烈な主張でしょう。素晴らしいです。セットリストひとつでこれだけ強いメッセージが表現できるんだと改めて感心させられました。そしてAKB48グループの予定調和を嫌う伝統は健在なんだなとゾクゾクしてしまいます。卒業してからの山口真帆の活躍が楽しみです。