幹事クリタのコーカイ日誌2019

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4月17日 ● 人物写真の反転。

 グラフィックデザイン、特に商業デザインの世界では人物写真の反転使用はご法度中のご法度です。これを意図的にやったらもちろん、気がつかないでやらかしても本当に怒られます。本人はもちろんですが、撮影した写真家も激怒します。まあ肖像権的にも著作権的にも問題になりますから当然です。基本中の基本です。

 なぜ人物を反転してはいけないのか?それはそもそもそういうことをしたら架空の人物になってしまうからです。人間の顔は左右非対称です。反転すれば明らかに違和感を感じます。鏡に映った自分の顔と写真で撮影した自分の顔は違います。あまり気にしない人も中にはいるかも知れませんが、多くの人、特に見慣れている人にとってはかなりの違和感があります。

 ところが新5千円札の津田梅子の肖像で平気で反転をやらかした財務省と、さらに菅官房長官までもが「問題ない」と肯定してしまいました。普通に考えれば問題ありですが、そう断言する理由はなんでしょう?ひとつはあくまでも新5千円札のデザイン案はまだ案であって最終形ではないということでしょう。また写真はあくまでも参考にするだけで、そのまま使うわけではなく肖像画にするからという説明もしているようです。

 ただ最終案ではないとしたら、いま公表したこと自体が早すぎたのではないかと思います。なぜデザイン試案の段階なのにこんなに早く発表したのか、それは巷間言われているように政権が支持率アップのために新紙幣発行を利用したのではないかと勘繰られてしまいます。財務省でこの紙幣をデザインした人はきっと反転使用には反対したと思います。デザイナーとして仕事に携わった経験がある人ならわかっているはずです。しかし、きっとそれを財務省の偉い人が「なんでダメなんだ?」と押し切ったのでしょう。デザイナーは泣く泣く着物の合わせの修正作業をやったのではないかと思います。

 さて、最終的なデザインはどうするのでしょう。写真を提供した津田塾大学は納得していないようですが、それでもこのまま押し切ってしまうのでしょうか?僕はこんなことで無用の騒動を引き起こすよりも、反転しなくても良い他の写真をベースにすれば良いと思いますけど、安倍-麻生-菅ラインはマスコミに叩かれると意地になっても変えない気もします。新紙幣発行の頃には安倍政権ではないはずですが、菅政権かも知れませんし。


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