来年秋から放送するNHK朝の連続テレビ小説「スカーレット」のヒロインに戸田恵梨香が決まったそうです。またまた新人ではなく人気女優のヒロイン起用。NHKはすっかり方向転換してしまったようです。

　朝ドラと言えば新人女優をヒロインに起用して、周りをベテランで固めていくのがかつての常道。そうやって古くは大竹しのぶ（「水色の時」）や沢口靖子（「澪つくし」）、斉藤由貴（「はね駒」）、山口智子（「純ちゃんの応援歌」）、松嶋菜々子（「ひまわり」）、竹内結子（「あすか」）などから、最近でも石原さとみ（「てるてる家族」）、宮�ｱあおい（「純情きらり」）、能年玲奈（「あまちゃん」）、土屋太鳳（「まれ」）と、朝ドラを契機にスターになった女優がたくさんいます。新人女優の成長を楽しみながら見るドラマだとさえ言えます。

　ところが近年はNHKも視聴率を気にするようになったせいか、すでに知名度と人気のある「数字が取れる」女優をヒロインに起用する傾向が目立ちます。松下奈緒（「ゲゲゲの女房」）あたりから徐々に増え始め、井上真央（「おひさま」）、堀北真希（「梅ちゃん先生」）、杏（「ごちそうさん」）、吉高由里子（「花子とアン」）、高畑充希（「とと姉ちゃん」）、有村架純（「ひよっこ」）と売れっ子女優の連打状態。そして今の「まんぷく」の安藤サクラ、来春の「なつぞら」広瀬すずときて戸田恵梨香です。もう知名度が高いだけではなく安藤や戸田は年齢まで30代の中堅女優です。

　確かに視聴者は安心して見ることができるでしょう。ファンも多いですから固定客もつきやすいかも知れません。しかし、まだ見たことがない原石のような女優をいち早く発見する楽しみは失われてしまいました。「あまちゃん」が面白かったのは、能年玲奈だけではなく、橋本愛や有村架純、松岡茉優、足立梨花などフレッシュな若手女優が次々と発掘されたからこそ。そういう「選球眼」も楽しみのひとつのはずです。

　もっとも文句を言う割には大抵最後まで見ないのが僕にとっての朝ドラで、早ければ１週間、長くもっても２ヵ月くらいで飽きるというか、ダレてしまいます。「半分、青い」も漫画家をやめる前くらいで飽きました。「スカーレット」もきっと見ないような気が今からしているので、ヒロインが今さら感の強い戸田でも良いのですけどね。