幹事クリタのコーカイ日誌2018

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10月22日 ● 四つん這いで繋ぐタスキ。

 なかなかに衝撃的な映像でした。四つん這いになりながら道路を這って進む女子ランナー。両ひざから出血しているにも関わらず、タスキをつなぐ中継点まで250メートルもの距離を進みます。もちろん後続のランナーにはどんどん抜かれていくし、中継点で待つ次のランナーも泣いています。残酷ショーでしょうか。

 まだ序盤の2区でレース中に転倒した岩谷産業の飯田選手は、右足を骨折したにも関わらずレースを中断せずに、四つん這いで中継点を目指して進みました。これが残り10メートル地点ならわかりますが、250メートルです。選手生命にも関わるわけですから、当然止めるべきところなのに、なぜか延々と残酷ショーを続けさせた運営は何を考えているのでしょうか。報道によれば岩谷産業の監督はすぐにリタイアするように連絡をしたのに、その連絡が届かなかったということですが、本当でしょうか。普通に考えればあの状況なら現場のスタッフがすぐに監督の意向を確認するでしょう。それとも携帯電話も持たずに走って連絡するというオペレーションなのでしょうか?

 昨日のレースは福岡で開催された「プリンセス駅伝」(全日本実業団女子駅伝予選会)。上位14チームまでに入れば「クィーンズ駅伝」(全日本実業団女子駅伝)に出場できるという正式名称通りの予選会なのですが、そんな予選レースを全国中継するほどいま日本の駅伝ブームは高まっているわけです。実業団チームとしては、この大会のために日頃練習を積み重ねているわけですから、文字通り這ってでも勝ちたいという思いはわかります。とは言え、運営側は冷静に物事を判断しなければならないわけで、仮に監督からの連絡がなくたって、あの状況は審判長の権限で選手を止めるべきでした。

 さらに3区でもトップを快走していた三井住友海上の岡本選手が途中で脱水症状を起こして蛇行しコースを逆走するなど危ない状況だったにも関わらず、これもすぐには止めずに走らせていました。彼女が折り返しのコーンを正しく回れなかったのでまた戻るように指示するなど、命の危険よりもレースの成立を優先させるという指示には呆れました。一度ならずも二度までもとなると、大会運営側の不手際が責められるのも仕方ないでしょう。

 夏の甲子園でもそうですが、こうした健康に関わるような悲愴なスポーツ選手の姿を「美談」として売り物にするマスコミも、またそれを見て楽しみにしている観客にも同じように罪があります。きちんと批判すべきは批判して防げる事故を極力防ぐことが何より優先されるべきです。


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