幹事クリタのコーカイ日誌2018

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9月12日 ● セレナへの警告は妥当。

 大坂なおみのグランドスラム初優勝という快挙を台無しにした全米決勝での観客のブーイング。大坂が優勝者のインタビューなのに、まず最初に「こんな結果になってごめんなさい」と涙ながらに謝罪したというのは、あまりにも残念かつ残酷なことでした。セレナが「もうブーイングはやめましょう」と観客に呼びかけて美談のように扱われていますが、そもそもこうなった原因は全て試合途中で切れまくったセレナにあるだろうと突っ込みたくなりました。

 経過を検証すればセレナが悪いのは明らかです。第1セットを6-2とあっさり大坂が取って、第2セットも大坂が優勢で進んでいました。この時点ですでにセレナはかなりイラついている感じだったのですが、ここでセレナのコーチがジェスチャーでコーチングをします。これをセレナは見てなかったようなのですが、主審のカルロス・ラモスは見逃してませんでした。セレナに最初の警告を与えます。

 セレナは当然見ていなかったのでコーチングと言われて怒りますが、まだこの時点では警告だけ。しかし、セレナはさらにプレーがうまくいかず、ラケットをコートに叩きつけて破壊してしまいます。単に投げただけではなく、完全にラケットが壊れるほどの勢いでした。警告を受けた状態でこういう行為をすれば2度目の警告となり、1ポイントのペナルティになります。これは全くルール通りで主審は何も間違っていません。

 しかし、セレナは怒り狂います。ここから何度も主審に対して強い口調で抗議を繰り返します。それも最初は「謝りなさい」でしたが、最後には「盗人」とまで言うようになりました。あれだけプレーを止めて激しく主審に口汚く文句を言えば3度目の警告がくるのは十分に予想できました。厳格なジャッジとして有名なカルロス・ラモスのことです。当然のごとく3度目の警告、そして1ゲームのペナルティとなりました。

 負けている第2セット、3-4というギリギリの状態で1ゲームを奪われたセレナは完全に沸点に達しました。涙ながらにレフェリーを呼び猛烈な抗議。セレナを応援している会場のほとんどを占めるアメリカ人たちもセレナをバックアップして大ブーイングです。大坂はひとり、あの大きな会場の全員を敵に回して大ブーイングを浴びながらプレーをさせられたのです。あの会場にいた大坂のお母さんはどれほど娘を見ていて辛かったことでしょう。自分の子どもが何も落ち度もないのに大ブーイングを浴びせられているのです。

 そしてそこから鋼の精神力で優勝した大坂は、冒頭に書いた涙の謝罪スピーチから優勝インタビューを始めなければなりませんでした。こんなことになったのは誰のせいでしょう?それなのにセレナは自分への警告は厳しすぎる、男子選手ならこれくらいで警告は受けない、これは性差別だと主張しているのです。関係ありません。カルロス・ラモスは過去にもジョコビッチやナダルに厳格に警告を与えています。彼はただただ職務とルールに忠実なだけです。それに男子選手なら見逃されるから自分も見逃せという主張は筋が悪すぎます。

 ITF(国際テニス連盟)はカルロス・ラモスの判定を支持しましたが、WTA(女子テニス協会)はセレナを擁護しカルロス・ラモスを批判しています。これに対して審判たちが今後セレナの試合をボイコットするという報道も出ています。まだしばらくこの騒動の余波が続きそうです。


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