幹事クリタのコーカイ日誌2018

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5月22日 ● 組織の圧力と個人の倫理。

 日大の悪質タックル事件の当事者である日大の選手が会見を開きました。まだ20歳の学生が実に堂々とした、そして真摯で誠実な態度での会見でした。こんなきちんとした選手がなぜあんな悪質なプレーをすることになってしまったのか、その心中を慮ると、ますます彼に「つぶせ」という指示をした日大の監督およびコーチに対して怒りを禁じえません。

 やってはならないこととわかっていても、組織の中で命令に逆らえない強い圧力があり、結局自分の心を殺して悪事に手を染めてしまう。日大アメフト部だけの問題ではありません。むしろ同調圧力が強い日本社会の縮図です。どの組織にも起こりうることです。あの学生のことを他人事として高みから笑っていられるようなサラリーマンが果たしてどれだけいるでしょうか。

 例えば財務省の役人たちが、この事件についてどう感じたのか聞いてみたいものです。総理大臣の個人的な関係のせいで、公文書を改竄したり、破棄したとか会ってないとか記憶にないとか嘘をついたりさせられています。まともな職業人なら決してやりたくないはずです。挙句に役人が勝手にやったことだと政治家から責任まで押し付けられて、まるっきり日大アメフト部と同じ構図です。

 20歳の学生があれだけ堂々と真実を語りました。決して感情的にならず、監督やコーチの悪口も言わず、淡々と事実だけを述べることで、かえってその発言に嘘はないと感じさせました。ひるがえって国会でやり取りされている言論のなんと薄っぺらでうそ臭いことか。

 真実を語れば自ずと発言に説得力が生まれ、聞いているものに伝わってくるのだということがよくわかりました。彼がしたことはもちろん弁解の余地がない悪質なことでしたが、しかし薄っぺらな答弁を続ける官僚たちに比べたらどれだけまともか、そして偉そうに彼を指弾できる大人がどれだけいることか。自らの胸にも手を当てて考えてみようと思います。


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