幹事クリタのコーカイ日誌2018

[ 前日翌日最新今月 ]

5月12日 ● ハードコートは必要か?

 伊達公子はかねてより日本のテニスコートの多くが砂入り人工芝コートになっていることに警鐘を鳴らしています。砂入り人工芝コートというのは日本独自に発展しているコートで国際的にはほとんどなく、海外ではハードコートかクレーコートが主流。4大大会を筆頭にテニスの大会もほとんどがハードかクレー、もしくはインドアカーペットがあるくらいです。

 日本で育った選手が世界で活躍できないのは国際標準ではない砂入り人工芝コートに慣れてしまっているせいだというのが伊達の主張で、もっと強い選手を育てるために日本のコートをハードコートにしようということを繰り返し言っています。言っているだけではなく、かつて岐阜・長良川のテニスコートは伊達の主張を受け入れて岐阜県が砂入り人工芝をハードコートに作り直してしまいましたし、先日も伊達がプロデュースするハードのテニスコートが品川にオープンしました。

 伊達の主張はトップ選手に限って言えば当たっているのでしょう。確かにプロの大会で基本的には使われない砂入り人工芝コートに慣れてしまえば、ハードやクレーへの適応が遅くなります。ただそうは言っても、今の日本のテニス選手の活躍ぶりを見ていると、本当にそうなのかは疑問が残ります。だって世界を股にかけて活躍する選手たちがいつまでも砂入り人工芝でばかりテニスしているわけではありません。彼らは10代のうちから海外での大会に参加しています。砂入り人工芝コートに慣れてしまっているのは、そもそも国内でしか戦わない選手たちだけです。

 なによりハードは一般プレーヤーには不評です。ボールが遅くなり跳ねない砂入り人工芝はアマチュアにはプレーしやすいですし、ハードは足腰に衝撃が大きく故障を誘発します。また雨が降ると全く使えないので、雨の多い日本の気候にはハードは不向きです。そして日本で多くプレーされているソフトテニスはクレーか砂入り人工芝と決められていて、ハードでは大会が開催できません。実際、長良川こそハードに切り替わりましたが、それに続いたというコートは聞いたことがありません。逆にハードコートを砂入り人工芝に変えたコートなら知っていますが。

 テニスは「見る」スポーツでもありますが、それ以上に「やる」スポーツです。ごく少数のトップ選手よりも、はるかに数が多い愛好家のために自治体がコートを作るのは当たり前です。少なくとも自治体が運営する市民向けのテニス場は砂入り人工芝の方が向いていると僕は思います。


gooブログでも読めます「幹事クリタのコーカイブログ」

テニス好きなら「幹事クリタのテニス日誌」