幹事クリタのコーカイ日誌2018

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2月22日 ● 女子団体パシュートの頭脳的金メダル。

 当初から日本とオランダの一騎打ちと見られていたスピードスケート女子団体パシュート。順当に両チームとも決勝まで勝ち上がりました。日本は準決勝のカナダ戦では予定通りに佐藤を休ませ菊池を投入。さらにレース途中から高木美がスローダウンを指示するほど体力温存に努めます。決勝のオランダ戦では体力の限界まで足を使わなければならないからです。

 オランダ戦の鍵はエース高木美の調子が一番大事ですが、それとともに若い佐藤がどこまで頑張れるかでした。パシュートは3人の中でもっとも遅い走者のタイムで競います。当然3人目をいかに早くするか、そのための作戦がエース高木美が3.5周を先頭で引っ張ることです。佐藤は1周だけ。佐藤が先頭にいるその周回はオランダに後れを取るのも想定内で、佐藤から高木菜、そして高木美と先頭を交代する時にオランダを追い上げる作戦です。

 オランダは「個々の実力が高いから1週間チームで練習すれば日本に勝てる」と豪語していたらしいですが、日本は4人が1年にわたってみっちりチーム練習をしてきました。ワンラインで流れるようなスケーティングも、スピードを落とさずに素早く先頭を交代する技術も日本が磨き上げてきたもの。オランダが1週間で何とかなるレベルではありません。

 決勝戦は日本の想定通りの展開でした。スタートから高木美が引っ張り、佐藤に先頭を交代。佐藤のところでオランダに遅れることわずか0.5秒。高木菜の1.5周の間にオランダに追いつくと、後は高木美が一気にチームを引っ張って逆転。最後は1.5秒の差をつけて五輪記録での完勝でした。

 羽生の金も小平の金も本当に感動的でしたが、この団体パシュートの金ほど計算し尽された戦略通りの金メダルも珍しいのではないでしょうか。長年にわたって築き上げた個々の実力と個性、そしてそれを組み合わせたチームプレイが見事にはまった感じは、スピードスケートでありながらチェスか将棋のような印象でした。日本のスポーツ史上に残るような頭脳的な素晴らしい金メダルでした。


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