幹事クリタのコーカイ日誌2018

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1月8日 ● 初回から微妙な「西郷どん」。

 今年の大河ドラマ『西郷どん』がスタートしました。初回を見ましたが、面白くなりそうな雰囲気と、失敗しそうな予感のアンビバレンツな感じがしました。どちらに転ぶか、今後の展開が注目です。

 面白くなりそうなのは、まず何より題材が良いということです。西郷隆盛は大河ドラマで幕末を取り上げれば必ず登場する日本歴史上の重要人物です。過去には『翔ぶが如く』で主人公にもなっています。ただしその時は大久保利通とのW主人公でしたが、今回は単独で西郷が主人公。じっくりと西郷を描き切ることができるでしょう。

 そしてキャスティングも良いと思います。鈴木亮平は西郷には全く似ていませんが、役者としては一流だと思います。瑛太の大久保も鈴木とのコンビなら良いでしょう。島津斉彬に渡辺謙は最高です。ただあまりの存在感で主役を食ってしまうのは仕方ありません。久光の青木祟高も良いです。適度な人の良さと小物感が醸し出されていました。斉興の鹿賀丈史はかつての大久保ですが彼も名優。黒木華、沢村一樹、松坂慶子、風間杜夫などは安定感があって安心して見ていられます。

 注文があるとしたら、お由羅です。小柳ルミ子では老けすぎでしょう。色気の濃密な中年の女優が良かったかと。高岡早紀あたりが適任です。まあ早々にドラマからは退場しそうですから良いですけど。西郷従道の錦戸亮も合っていません。何より線が細すぎます。ジャニーズでは薩摩隼人が似合いません。今後も「なぜ?」というキャストが出てきそうですが、NHKにも事情があるのかと目を瞑るしかないでしょう。

 失敗しそうな予感は何よりも「女の視点」です。原作者と脚本家が女性、しかもよりによって恋愛大好きな林真理子と中園ミホということで、放送前からやたらと「女の視点」を強調していましたが、過去の失敗してきた大河ドラマと同じ轍を踏むのかと心配になります。『江』や『花燃ゆ』でやらかした「女大河」はロクなことになっていません。朝ドラならいいのですが、歴史を描く大河ドラマに恋愛やら家庭の事情やらチマチマした話は要らないし、歴史ドラマに「ジェンダー」視点はむしろ歴史を歪めるだけです。

 初回でも西郷が女装して町をうろつく訳のわからないシーンがありましたが、ああいう余計なジェンダー小話を入れてほしくはありません。「モテ」とかも要らないのです。今後も篤姫と西郷の恋愛パートが登場するという噂がありますが、断固としてやめてもらいたいものです。こうしたエピソードはほとんど「女子の妄想」ですから、余計にバカバカしいのでお願いだからカットしてください。「妄想」は史実の隙間を埋める推測とは別のものです。

 あの手練れの森下佳子ですら昨年『おんな城主直虎』でコケました。「女の視点」を我慢して、ぜひ「人間の視点」でドラマを描いてほしいものです。


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