幹事クリタのコーカイ日誌2017

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11月22日 ● 貴乃花を悪者にしたいのか。

 日馬富士暴行事件がおかしな方向に進んでいます。本来は単純な事件のはずです。日馬富士が後輩の貴ノ岩を酒席で暴行して怪我を負わせた、と。日馬富士本人も暴行の事実を認めているのですから、それ以上でもそれ以下でもないはずのに、その本筋よりも、協会に黙って被害届を出した貴乃花親方を批判するような言動があふれ出ていて、巡業部長である貴乃花を冬巡業から外す方向とか、まるで被害者側が悪者にされようとしています。

 このおかしな成り行きは恐らく外国人にはなかなか理解しがたいでしょうが、「ムラ社会」を知っている日本人なら何となく空気は読めます。そう、その「空気」を読まない貴乃花が悪いという見方です。相撲界にあって多少の暴行は暴行ではなく「かわいがり」であり、今回もそんな大した問題ではなかったはずなのに、内部への報告をすっ飛ばしていきなり外部の人間である警察に被害届を出した貴乃花は、「身内の恥」を敢えて晒し「ムラの和」を乱した極悪人であるということです。まさに「ムラ社会」の思考法です。仮に言われているように貴乃花に次期理事長選への思惑があったとしても、あくまでも加害者は日馬富士、被害者は貴ノ岩です。

 こうなってみると、相撲協会の暴力容認と隠蔽体質は昔から全く変わっていないんだなと思わざるを得ません。新弟子を暴行して殺した2007年の時津風部屋の暴行死事件の反省が全く生かされていないと言って良いでしょう。貴乃花は「改革派」と呼ばれていますが、理想を掲げて改革しようとするには彼の前には岩盤のように固く大きな壁が立ちふさがっていることがうかがえます。そりゃ内部に先に報告すれば握り潰されることは間違いないので、先に警察に被害届を出したのも理解できるというものです。

 今回の事件と政界の「森友・加計問題」には共通した構図があります。「モリカケ」も本来は単純な事件のはずです。首相が政治力を使って身内に利益供与をしたという意味では、相撲界の暴行事件同様に決して誉められたことではありませんが、その世界では「よくあること」です。それが今回たまたま外部に漏れて「バレた」ところも一緒です。そこで素直に陳謝して、スピーディに関係者をそれなりに処分すればボヤで済んだはずが、なぜか官邸は全力で否定して証拠を隠蔽し証言を拒否してしまっために「何か裏にあるのでは」と勘繰られて逆に大炎上しました。

 いま相撲協会も官邸と同じ轍を踏もうとしています。ここで貴乃花を「ムラの掟に背いた」として悪者に仕立てるのはいかにも無理筋です。それよりも早々に日馬富士と同席していた力士たちを処分して終結させる方が世論は納得しますが、八角理事長にそれだけの器量があるかどうか。なにせ「バランス型」という名の「事なかれ」主義者のようですから。


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