未だに希望の党の「カタチ」が見えてきません。空疎なキャッチフレーズらしき言葉は聞こえてきますが、どういう政党なのかが正体不明です。まず党首の小池都知事は今回の選挙に出馬するのかどうか。もし出るのなら、都政は放り出しで都民の怒りを買いそうですが、自民党との政権交代を争うというお題目は一応嘘ではないことになります。もし出馬しないで都知事にとどまるなら、何のための新党かということになります。党首が首班指名を受けられない政党に政権交代はできません。首班指名の時には誰を推すというのでしょうか？

　希望の党は公認候補もいつまでたっても発表されません。民進党からの合流する議員の選別だってもっと急げばできるでしょうし、当然その前からいる自前の候補はさっさと発表できるでしょう。引っ張るだけ引っ張る「後出しジャンケン」をするつもりなら見え透いた手口です。

　希望の党の公約もよくわかりません。漠然とした雰囲気で「原発ゼロ」を唱えていますが具体的なプランはありませんから、いつまでにどうやって原発ゼロにするのかはわかりませんし、民進党議員の排除の理由として「憲法観」とか「安保法制」とか言ってますから、右寄りの保守政党なんだとはわかりますが「原発ゼロ」というリベラル受けする方針との整合性も取れていません。またどんな改憲案を持っているのかもわかりません。さらに経済政策とか財政改革とか抜きにしての「消費税凍結」なんてまさに絵に描いた餅です。

　結局具体的なプランは何も見えてこないまま、雰囲気だけで選挙を乗り切ろうとしているようにしか映りません。いかにも説明しないでいつもはぐらかしてばかりの小池らしいやり方ですが、「劇場型」にしても目に余る粗雑さです。もし希望の党が大きく議席を獲得した時に一体何をするのかもわからなければ、どの政党と手を組むのかさえ見えてきません。自民党と完全に対峙するのか、それとも自民党と部分協力していくのかもわかりません。政策的には自民党と大差ないだろうと思われるだけに、何とも信用できない感じがします。

　小池がここまでやってきたのは民進党の破壊だけです。小池の口車に乗せられた前原がバカだったとしか言いようがありませんが、選挙に勝ちたい民進党議員は小池の靴を舐めても希望の党の公認をもらいたがっているし、「排除の論理」で阻まれたリベラル系は枝野を中心に新党を作り、共産・社民と連携を図るようですが、それも沈みかけた船からいつ沈むかわからない泥舟に乗り替えるだけのことです。

　民進党と希望の党が巧妙に連携をとって「反安倍」の受け皿になれれば自民党を一気に追いつめられるかと一瞬思いましたが、このままでは希望の党も民進党と共倒れになるのではないかと思います。逆に枝野の新党はやりようでは「受け皿」としてある程度まで票を集められそうな気がしますが、なにせ理念ばかり頭でっかちの人たちが集まりますからきっと喧嘩して分裂していくんでしょう。大昔から左翼はそういうものですから。結局最後に笑うのは自民党でしょう。一瞬冷や汗をかいた安倍総理も、余裕を取り戻しつつあるのではないかと思います。