幹事クリタのコーカイ日誌2017

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6月6日 ● 錦織の苦闘。

 全仏オープンテニスで錦織が準々決勝に進出しました。第8シードですからこれでシードを守ったことになります。当然と言えば当然の結果ですが、体調の思わしくない中で最低限の結果は出したという意味では称賛しても良いと思います。

 ただ今大会はとにかく苦戦の連続です。1回戦から4回戦までの4試合全て見ましたが、一番「らしくない」のは集中力が急に落ちてパフォーマンスレベルががくんと下がること。体調の異変があるのかも知れませんが、本来の実力の半分どころか2割くらいしか出ていないのではないかと感じるほどに精度の低いプレーが突然出てきます。

 1回戦のコキナキス戦はまだ相手が好調だったし、錦織も初戦だから入り方が難しかったという言い訳もありました。相手が無欲でガンガン打ってくるのですから年上であり格上でもある錦織にはやりにくさもあったことでしょう。1セット奪われたものの70点くらいの評価はできました。

 2回戦のシャルディ戦は立ち上がりから万全で、途中は12ゲーム連続で取るなど絶好調でした。ところが肩の痛みでメディカルタイムアウトを取ったところから急に流れが変わりました。それまで死んでいたようなシャルディが急に元気になり、逆に錦織のプレーの質がガクンと下がりました。辛うじてストレートで勝ったものの、タイブレークを落としていたら危うい感じでした。反省点はあるものの85点くらいでしょうか。

 3回戦のチョン・ヒョン戦は雨に助けられて薄氷の勝利でした。この試合では伸び盛りの若手の勢いをいかに受け止めて跳ね返すかがポイントでしたが、徐々に錦織の方が押されはじめ、それに加えて焦りも加わって自分のテニスを見失った感じがしました。本来のテニスのレベルではまだまだチョンとは大きな差がありますが、同じアジア選手として相手の良いところを受けてやろうとしたのか、チョンが得意なバックハンドの打ち合いに敢えて応じたりとかしている間に調子の乗せてしまったように思えました。雨天順延となったお蔭で冷静さを取り戻した錦織でしたが、2回戦に続いてメンタル面での課題が見えた試合であり、ほぼ落第点の内容でした。

 そして4回戦のベルダスコ戦。今度は経験豊富なベテラン相手です。過去の戦績も競り合っていますし、何よりベルダスコはクレーのスペシャリストで今大会絶好調。かなり危険な相手です。試合はなんとベルダスコの6-0から始まりました。ベルダスコが好調というよりは錦織が絶不調。足か股関節が痛いのかフォアは追えないし取ってもまともに打てません。何をやってもダメ。全てがダメ。これはストレート負けか途中棄権かなというくらい酷い内容でした。

 ところが2セット目から錦織のテニスが丁寧になりました。決めにいかずできることだけをするというテニス。それでキープを続けて粘りました。不調なりにやることをやってきた錦織に対してベルダスコの調子が少しずつ狂いだします。錦織の不調さを感じ取っているだけに、それでもセットを取りきれないもどかしさがベルダスコにはあったのでしょう。2セット目はスタッツではベルダスコの方が上回っていたのに錦織が少ないチャンスを生かして取り、3セット目は内容も互角になりました。勝負を分けたのは3セット目第7ゲーム。これを取ったことでベルダスコの気持ちが切れたのか、錦織の調子も急に上がり4セット目は完全に錦織のペースで楽に6-0で勝利を決めました。

 どこかが痛いのか集中力にムラがあり、それで調子の波が激しく上下して格下相手に危なっかしい試合を続けている錦織ですが、次の相手はいよいよ第1シードのマレーです。ただ僕はもしかしたらここから錦織の調子が一気に上がるのではないかとも予想しています。昔から錦織はチャレンジする立場の時に集中力がグッと上がるタイプです。マレー相手なら集中力が切れることもないでしょう。ここまでの苦戦が次に生きるのではないか、そして素晴らしい結果を残してくれるのではないかと期待しています。


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