幹事クリタのコーカイ日誌2017

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5月18日 ● 決める人間が偏っていると変えられない。

 世の中にはおかしいなぁと思っていても、簡単には変わらないことというのがあります。約30年前の昭和63年、会社が新しいオフィスを作って移転する時に、社員からの要望を組合がまとめるということで意見を求められたことがありました。僕は「新オフィスはぜひ禁煙に」と言ったのですが、社に提案する以前に組合の幹部に取り上げてもらえませんでした。「そんなこと言っても、みんなタバコ吸いますし」と。

 僕は「いやいや、これからはそんな時代じゃないって」と言いましたが、翌年引っ越した新オフィスでは全員のデスクの上に灰皿が支給されました。健康増進法が制定されたのはそれから約15年後の平成14年でした。ようやくオフィスの分煙が法的にも定められ、オフィスにも無理矢理喫煙スペースが作られました。僕が言ったように最初から分煙にしておけば良かったのにと思いましたが、偉い人が「みんな」タバコを吸うような会社では受動喫煙なんて考えられなかったのも無理ありません。

 今から20年近く前に社員全員にPCを支給することになりました。僕はこれからの時代はWindows機にした方が良い、じゃないとこれから社内ネットワーク環境の構築が大変だから、ということを言いましたが、当時の広告制作現場ではMacが当たり前で、Mac信者ばかりだったし、まだほぼスタンドアローンで使っているような状況だったので、結局クリエーティブ部門だけは全員にMacが支給されました。

 それからのネット環境の激変ぶりはご存じの通りだと思いますが、その後は社内でMacだけ浮いてしまって困ったことになりました。社内システムの大半がMacにまで対応し切れず、結局Windows機と2台並べて使うという本当に無駄なことになりました。だから最初からWindowsをベースにしておけと言ったのになぁと思いましたが、これも決める人間がみんなMac派だったのだからどうにもなりません。

 いま労働のあり方を変えよう、長時間残業をやめよう、休みを取ろう、余暇を楽しもうということをしきりに言われていますが、こんなことも随分前からそうした方が良いとわかっていたはず。僕は四半世紀以上前から「仕事だけの人生なんてありえない」と思って趣味を中心とした生活をプランニングしてきましたから、今頃何を言っているんだろうと思いますが、これも多くの経営陣が本気で考えてこなかったことです。

 そもそも会社で経営者にまでなるような人間は仕事一筋の仕事バカばかりですから、仕事以上に余暇を楽しむライフスタイルなんて理解できないのも無理ありません。本気で働き方改革をしたいなら、まず「遊び人」属性の人間を改革チームに大量に入れるべきだと思いますが、そんな会社もないでしょうねぇ。


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