幹事クリタのコーカイ日誌2016

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4月28日 ● 引退を実感するのに2年。

 アスリートが引退した後ってどんな気持ちなんだろうと昔から思っていました。プロ野球選手でも力士でもテニス選手でも、若い頃から最前線でしのぎを削って戦ってきて、体力的なことや精神的なこと、そのほか諸々の事情があって引退した時に、戦わなくてもいい自分、戦っていない自分、傍観者の自分をどう感じるのだろうと思っていたのです。

 さっぱりとしているのか、誇らしいのか、それとも寂しいのか、特に何も感じずに次のステップに向かっているのか。人それぞれに違うのでしょうが、若くして引退した江川や貴乃花は、いやそんなトップクラスの選手ではなく大成しなかった選手も含めて、引退をどう感じているのかなぁと昔から考えていました。自分はアスリートではないし、勝負の世界で生きているわけでもないし、引退もないから彼らの気持ちはわからないだろうけどと。

 ところが最近になって自分が「広告制作」という世界、クリエーティブという戦いの場から引退しているんだ気づきました。2年前に人事異動で制作部門から管理部門に変わった時に僕は「引退」していたんだということを、今頃になって実感してきたのです。なぜ今さらそう思うようになったのかと言えば、自らの意志で異動したわけではなかったので、なかなか自分の立場の変化が腹に落ちなかったのだろうと思います。裏を返せば最近になってようやく今の仕事に馴染んできたということで、随分と時間がかかってしまいました。

 引退したんだなぁと思うのは、もう表現の現場に戻れないなという実感が伴ってきたからです。32年間もやっていた仕事ですから、体に染みついていたものが抜けるのに2年かかったようです。そして素晴らしい広告、面白い広告を見て「やられた」という感覚もようやく最近なくなりました。これはすっかり自分が戦場から身を引いて現役ではない証拠だと思います。

 僕は江川や貴乃花のようなトップ選手ではなく、多くのありふれた凡百のコピーライターの1人に過ぎませんが、それでもこうして最前線にもう戻ることはないなと実感しているということは、あの頃は戦場で自分なりに頑張って戦っていたんだなぁと思いました。まあ会社員としてはもうしばらく現役なのですが、選手ではなく球団のコーチとか職員とか、そういう立場で関わっている感じがします。


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