幹事クリタのコーカイ日誌2016

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4月29日 ● 土9っぽい月9「貴族探偵」。

 テレビドラマには枠で見るというスタイルがあります。フジテレビ系月曜9時とか日テレ系土曜9時(今クールから10時に枠移動しましたが)、TBS系日曜9時などが典型ですが、長年人気ドラマを生み出し続けていて、なおかつ一定のテイストのようなものがハッキリしている「枠」のファンがいるのです。

 月9と言えば旬な人気俳優が出演するOL向けのラブストーリー(『東京ラブストーリー』『ロングバケーション』『やまとなでしこ』等)、土9はマンガ原作でジャニーズが出演する学生向けの学園モノやサスペンス(『金田一少年の事件簿』『ごくせん』『野ブタ。をプロデュース』等)、そして日9は小説が原作のファミリー向けヒューマンドラマや社会派ドラマ(『華麗なる一族』『半沢直樹』『天皇の料理番』等)というところでしょう。

 ここ最近は月9の凋落が指摘されていて、フジテレビの凋落の象徴のように扱われています。今クールの『貴族探偵』も初回こそそこそこの視聴率でスタートしたものの、2回目は視聴率も急落し、またも苦戦の様相を呈しはじめています。僕は初回、2回目と見ましたが、決してつまらないわけではなかったのですが、あまりにも月9らしさがなく、ほとんど土9のテイストだったので、それが苦戦の原因ではないかと思いました。

 主役は嵐の相葉雅紀なのですが、本当の主役は武井咲です。彼女が冒頭からラストまでずっと出演していて、彼女の目線でドラマは進行します。相葉の出番は武井の半分程度しかないでしょう。そして武井の相棒的存在の生瀬勝久、相葉の使用人である松重豊、中山美穂、滝藤賢一も含めた群像劇でもあります。

 ラブ要素は皆無であり、かなりコメディタッチで小ネタも多く現実感はゼロ。ネタはトリックそのものが中心です。土9っぽさに加えてテレ朝金曜深夜枠(『TRICK』『時効警察』『警部補 矢部謙三』等)もかなりの割合でブレンドされています。このドラマを喜ぶのはマニアック層であり、決して月9のメインターゲットであるOLではありません。

 ドラマそのもののクオリティは高いのですが、明らかに枠を間違えています。となると失敗の責任は制作ではなく編成にあります。フジテレビ苦戦の原因は編成のセンスのなさ、時代感覚の欠如だと思っていますが、これはもっと根本的、基本的なところで間違えていると思います。せっかくの豪華キャストだったのにもったいないことです。


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