世界中の人が「まさか」と思っていたことが起きてしまいました。トランプがヒラリーを破って大統領選に勝つとは。もちろん可能性があることはわかっていましたが、それでもほとんどの人が「まさか」と思っていたのではないかと。それほどこれは「考えたくはない未来」だったのだと思います。

　日本でもタレント議員を自治体の首長にしたこともありましたし、「宇宙人」を総理にしたこともありました。しかし、それでもトランプ大統領よりはまだマシなジョークでした。なにせ立場が違います。大阪府知事はもとより、日本の総理だってアメリカの大統領に比べたらどうってことはありません。今後世界はいざとなればトランプの意志ひとつで核戦争にも巻き込まれてしまうのです。

　トランプはあまりにも予測不可能です。選挙中に行っていたのは誹謗中傷差別発言ばかりです。具体性のかけらもないプロパガンダだけで当選してしまいましたが、実務が求められる政治家として何ができるのかは未知数過ぎて読めません。実際に政権運営を行ってみたら思うようにいかないことばかりで投げ出してくれたらまだマシで、自暴自棄になって世界を無茶苦茶にしないかと心配になります。

　今回の選挙結果を一番喜んでいるのはアメリカの敵国である中国でありロシアでしょう。なにせアメリカが内部分裂しただけではなく同盟国とも分裂していこうとしているのです。中国はきっとトランプが就任したらすぐに南シナ海や尖閣諸島で挑発的な行動に出ると思います。そこでアメリカがどう出るか、もし「アジアのことなんて知らないし」みたいな態度を取ったら、どんどん海洋進出を図ってくるでしょう。

　日本は独自で尖閣を守らなければなりません。もし米軍撤退とか安保破棄とかになると、日本は好むと好まざるとに関わらず軍備を大幅に拡充する必要が生じます。日本だけではありません。世界の時計は100年くらい逆に回って世界大戦前の空気が漂うことにもなりかねません。

　もちろん、そうはならない可能性もあります。なってみると意外とまともだってことだってあり得ます。ただトランプの行動が読めない以上、いくつものシナリオを考えておかないと危険なのは事実です。本当にアメリカ国民は厄介なことをしでかしてくれたものです。