幹事クリタのコーカイ日誌2016

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10月13日 ● 春樹よりディラン。

 もはや日本の秋の風物詩となった村上春樹ノーベル文学賞落選のニュース。かれこれ10年近く、毎年のように話題になっているような気がしますが、今年もまた取れませんでした。イギリスのブックメーカーでは1番人気だったという報道もありましたが、あまり当てにはならないだろうなと思っていたらその通りでした。

 僕は昔から村上春樹作品とは相性が悪く、デビュー間もない頃に初期の作品をいくつか読んで「あー、合わないなぁ」と感じてからは小説はあまり読んでいません。ただエッセイは好きですし、人物としての村上春樹は応援しています(「地球のはぐれ方」で名古屋をバカにしていたのは残念でしたが)。ただ肝心の小説が好みではないため、ノーベル文学賞に彼が相応しいかどうかというのは判断がつきませんが、ファン目線ではないからこそ思うのは「ポップ過ぎる」という気はします。

 川端康成にしろ大江健三郎にしろ人気作家ではありましたが、大衆的でも商業的でもありませんでした。村上春樹は中身はともかく「見た目」は商業的人気作家だと思われがちだと思います。それだけ彼の作品は「売れている」からです。「売れる」=「芸術性が低い」という公式はステレオタイプ過ぎるのですが、ノーベル賞の選考委員はそう考えているのではないかと常々思っていました。だから村上春樹は毎年落選なんだろうと。審査員が変わって審査基準が変わらないと取れないんじゃないかと。

 ところが今年のノーベル文学賞はなんと「フォークの神様」ボブ・ディランでした。うーん、そうきたかという感じです。ノーベル賞というのはちょくちょくこうした「受け狙い」をやることがあります。「俺たちわかってんだぜ」というアピール感が凄いです。そりゃ村上春樹よりボブ・ディランの方が全世界的なアピール度の高さは段違いです。ディランが悪いわけではありませんが、ちょっと利用されている感じになってしまうのではないかと思いますが、受ける以上はディランも喜んでいるのでしょう。

 でもディランがノーベル賞ならジョン・レノンだって貰っておかしくありません。もっとも故人は貰えないからジョンが受賞することはあり得ませんが、オノ・ヨーコが貰ったらブーイングが世界的に巻き起こるでしょうね。でも商業的・大衆的という意味ならディランの方が村上春樹より上ですから、来年あたり、いよいよ村上春樹受賞ということもあり得るかも。秋の風物詩はまた来年へと続きます。


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