幹事クリタのコーカイ日誌2016

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9月6日 ● ドラマ「ベイビーステップ」。

 テニスマンガは数あれど、テニス好きから見てもっともリアルで面白いと思うのは勝木光「ベイビーステップ」だと思います。テニスをしない人にしたらまた意見は異なる可能性はありますが、テニスをちゃんとやっている人であればあるほど、「ベイビーステップ」のテニスに対する真摯なアプローチは高く評価されていることでしょう。

 その「ベイビーステップ」がドラマ化されて、この夏からアマゾンビデオで配信されています。プライム会員は無料で視聴できるので、原作ファンの僕としては「プライム会員で良かった!」と改めて感激しています。

 とは言え、実写化というのは原作が好きなら好きなほど不安なものです。過去にマンガをドラマや映画にして納得できたことなどほとんどありません。辛うじて「のだめカンタービレ」くらいで後は死屍累々と言って良いでしょう。原作のキャラクターイメージが実写化によってぶち壊されてしまうことが大半だからです。ましてスポーツマンガはハードルが高く、付け焼刃の競技シーンがどうしても笑っちゃうくらい悲惨なことになります。

 そういう意味ではこの「ベイビーステップ」も、とても原作ファンを満足させられているとは言えないレベルです。特にヒロインである鷹崎奈津のイメージがかなり違います。原作では天真爛漫な明るい天然キャラなのに、ドラマではむしろ優等生タイプの大人しいイメージです。ほぼ正反対と言っても良いでしょう。「なっちゃん」のファンだったら、ちゃぶ台をひっくりかえしても無理ありません。

 またテニスシーンも残念ながら出演しているほとんどの若手俳優がトップジュニアの選手らしさはありません。辛うじてタクマ役と大林役の俳優はフォームがキレイでしたが、主役のエーちゃんを始め、他の俳優陣は付け焼刃感がかなりプンプンします。テニス経験はありそうな俳優が多いので、テニスファンでなければ気にならないかも知れませんが、テニス好きには「うーん?」と首を捻ることになるシーンが多いです。

 ただドラマ全体に原作になるべく忠実に作ろうとしているのは感じるし、なっちゃんのキャスティングはイメージよりも俳優のテニス経験を優先したことと、原作通りのキャラ造形では実写化しても不自然だという判断もあったのかも知れません。少なくともドラマ全体に「原作レイプ」感はなく、原作をリスペクトしている雰囲気は伝わってくるのでイヤな印象は受けません。テニスに興味があってこれから始めたい人には、いろいろと勉強にもなるドラマだと思います。

 それからこのドラマで原作を知った人は、ぜひ原作を読んでもらいたいです。本当に良いマンガですから。


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