幹事クリタのコーカイ日誌2016

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2月19日 ● さらばヤンキース。

 最近ビンボーなので本代を少々ケチっています。と言っても、新刊を買うのを控えて、昔に買って放置してあった本を少しずつ読んでいるだけなのですが、今日読み終わったのが「さらばヤンキース 運命のワールドシリーズ」(デビッド・ハルバースタム)。新潮文庫今月の新刊、と帯に書いてありますが、発行は平成8年3月1日。ちょうど20年前の新刊です。

 この本はノンフィクション作家として有名な著者が1964年のヤンキースとカージナルスのワールドシリーズを描いたものです。とにかく両チームの選手や監督、コーチ、スカウト、球団フロントなどに丹念に取材をして、当時の大リーグ、そしてアメリカ社会を浮き彫りにした作品。黒人選手が大リーグに登場して間もない時代で、当時まだ色濃く残る人種差別をかなり突っ込んで書き込んでいます。

 名門ヤンキースは名門ゆえに黒人選手の登用が遅れ、逆に新興のカージナルスは積極的に若い黒人選手をチームに迎え入れ、それによってスピードを重視した新しい時代の野球を切り開きました。その象徴的な2チームが対戦したワールドシリーズは第7戦までもつれこんだ挙句にカージナルスが優勝。これ以降、常勝ヤンキースは没落していきます。まさに時代の転換点となったワールドシリーズでした。

 原題は「OCTOBER 1964」。1964年、アメリカは公民権法が成立します。そして当時の日本はちょうど東京オリンピックが開催されている時です。高度成長の真っただ中。僕はまだ3歳。いくら野球に早熟だったとは言え、さすがに当時の大リーガーたちのことは知りません。本書に登場するミッキー・マントル、ロジャー・マリス、ボブ・ギブソン、ルー・ブロックなどの大選手も名前は知っていますが、そのプレーは見たことがありません。ましてその他の選手たちのことは、ほとんど知らないし、あまりイメージが湧かないのが残念です。辛うじて後に大洋でプレーしたクリート・ボイヤーだけ現役時代のプレーを見ていますが。やはりスポーツノンフィクションは登場する選手たちのプレーをイメージできるかできないかの差は、面白さに大きく影響します。

 これが同時代であってももう少し馴染みのある日本の選手だったら、きっともっと面白かったことでしょう。長嶋、王、金田、村山、野村、杉浦、稲尾といった昭和39年頃に活躍していた日本の選手なら、僕も現役時代を知っています。当時は大リーグの試合を今のように中継しているわけもなく、ニュースでもほとんど報道されていませんでしたから、知りようがなかったので仕方ないのですが。

 それにしても20年前の新刊も面白い本は面白いです。もちろんもう新刊は売っていませんが、アマゾンで中古で買えるみたいなので、スポーツノンフィクションが好きで、大リーグが好きで、現代アメリカ史が好きな方なら楽しめるのではないかと思います。


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