男子テニスのツアーファイナルが始まりました。グループＡ「スタン・スミス」とグループＢ「イリ・ナスターゼ」という往年の名選手の名を冠した２つのグループに分かれて総当たり戦を行い、上位２名が決勝トーナメントに進出します。この組み分けがまずポイントだったのですが、錦織のグループはジョコビッチ、フェデラー、ベルディヒ。かなり厳しい組み合わせになってしまいました。

　ジョコビッチではなくマレー、フェデラーではなくバブリンカだったら勝ち目はありました。錦織有利とまでは言えませんが、少なくとも勝利のイメージは湧きます。しかしジョコビッチとフェデラーでは勝ち目はかなり低くなります。このツアーファイナルは、この２人のためにあるような大会です。クレー巧者でインドアハードが苦手なバブリンカやナダル相手ならともかく、ジョコビッチ、フェデラーから勝利をあげるのは相当に厳しいことです。

　今大会の錦織の目標は勝つというよりも自分のテニスを取り戻すことだと思います。今季前半は好調でしたが、後半はかなり成績が落ち込みました。体調不良も原因だと思いますが、錦織らしいテニスができずに苦しんでいる印象でした。サービスを強化したのは良かったのですが、その引き換えのようにリターンや勝負強さが陰を潜めてしまいました。

　また上位シードになったせいで、４強との対戦が減りました。格下との対戦が多かったせいか、守りに入ってチャレンジャー精神に欠けたように思えます。ツアーファイナルでは参加選手全員が錦織よりランキング上位であり年上でベテランです。チャレンジャーとして大会に臨めるのですから、これは去年までの攻撃的なテニスを取り戻すチャンスだと思います。

　と書いているところで、錦織とジョコビッチの試合が終わりました。1-6、1-6の完敗でした。ジョコビッチが強過ぎるとは言え、あまりにもあっさりと負けてしまいました。ここで何かを得て今季を終わってほしいのですが、どうなることやら。