「しくじり先生」というバラエティ番組があります。人生でしくじった経験がある芸能人や文化人が登場し、授業形式で自分の失敗談を話すのですが、これがなかなか面白くて、見ているとだんだん癖になってきます。もちろん先生によって面白い時もさほどでもない時もありますが、これまでもホリエモンや元・猿岩石の森脇など、かなり傑作の回がありました。

　しかし、先日放送された辺見マリの回は、これまでのレベルをはるかに凌駕していてまさに「神回」。と言うか、もうここまでくるとちょっと笑えないくらいの話で、バラエティという枠組みを超えドキュメンタリーとして成立していました。そのままドラマ化、映画化してほしいくらいのドラマチックさでした。

　内容は辺見マリが洗脳されて５億円もつぎ込んで家族を不幸にしていったという話ですが、その洗脳の手口があまりにも具体的でリアル。「洗脳されるなんてバカじゃないの？」と思って見ているほとんどの視聴者が恐ろしくなるような内容でした。まるでマジックのネタばらしをしているようでしたが、そうやって人は洗脳されていくんだと教えることは、犯罪を未然に防ぐためには効果的だと思います。

　さすが「しくじり先生」３時間スペシャルで２時間も尺を取って放送しただけのことはある内容でしたが、その前の１時間に話をした元木大介のラーメン屋経営を失敗した話がすっかり霞んでしまって、本当にどうでも良くなったのはちょっと可哀想でした。