幹事クリタのコーカイ日誌2015

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7月17日 ● ピース又吉の今後。

 読んでいないので作品の評価はできませんが又吉直樹の『火花』が芥川賞を受賞しました。三島賞が接戦の末の次点だったので「もしかしたら取るかも」と思っていましたが、やっぱりなという感じです。出版社だって商売ですし、特に芥川賞、直木賞は「商売っ気」が見え隠れする受賞作も多いので、又吉が受賞してもそれほど意外とは思いません。

 もちろん冒頭に書いたようにまだ僕は未読なので『火花』が作品としてどれほどのものなのかはわかりません。評判を聞く限りは読んでみたいとは思いますが、そもそも純文学は読み手次第のところがありますから、読んだところでこれが芥川賞に相応しいかどうかは判断できかねます。まだ直木賞なら「面白いかどうか」というわかりやすい判断基準がありますから、どうこう言う気にもなりますが、これまでも芥川賞受賞作にはピンとこなかったものも多いですし。

 ただ又吉の今後の活動の方向性については興味がわきます。つまりお笑い芸人の余技として作家をやるのか、本格的に作家として活動していくのかです。芥川賞は日本では最も有名な文学賞ではありますが、あくまでも新人賞です。作家として認められていくためには、これから発表される作品こそが大事。まして処女作で芥川賞などもらってしまうと、次にかかるプレッシャーは並大抵のものではありません。なまじ芸人として有名なだけに注目のされ方もハンパじゃないので、余計にきついと思います。

 お笑い芸人があくまでも本業ということなら、しばらくは「芥川賞作家」をひとつの持ちネタにして十分やっていけるでしょう。無理に作品を書く必要もありません。軽いエッセイでも書いていれば文化人的な仕事が今後も増えるでしょうし、次回作は芸人として売れなくなってきてからでも十分です。もちろん、話題性のあるうちに2作目を発表してコケたらコケたでそれを自虐ネタにするのも良いでしょう。

 ただテレビで見ている限り、又吉はそこまで割り切った考え方ができる根っからの芸人気質には思えないので、きっと真面目に次回作に取り組んでいるのではないかと思います。そこでまた本好きに認められるような良い作品を書き上げられれば、今後は北野武的な方向に歩んでいけますが、そうなったらそうなったでもう芸人を捨てて作家一本に絞ってしまうのではないかという気もします。相方の綾部としてはさぞかし今後のコンビの行方が不安なことでしょう。


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