幹事クリタのコーカイ日誌2015

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6月16日 ● 吉田秋生ファンとしての違和感。

 映画『海街diary』が公開になりました。是枝監督好きだし原作好きだし、見に行きたいけどでも抵抗があって行きたくない、かなり微妙な心境です。僕は吉田秋生の大昔からのファンで、『カリフォルニア物語』で入って『夢見る頃を過ぎても』『河よりも長くゆるやかに』の2作で完全にはまったのですから、ファン歴はかれこれ30年オーバー。コミックスは全て揃えています。昔から知り合いに少女マンガのお勧めを聞かれたら『BANANA FISH』と答えます。

 そんな吉田秋生ファンだけに、実写化というのはどうしても身構えてしまうところがあります。小説ですら実写化されるとキャスティングされた俳優のイメージが違うことに愕然とするのに、ましてマンガとなると大抵の場合ガッカリします。これまで納得したマンガの実写化は『のだめカンタービレ』くらいでした。吉田作品の実写化というと過去に『櫻の園』、『YASHA-夜叉-』、『吉祥天女』などがありますが、僕が見たのは最初の『櫻の園』くらいです。後はもうキャストを見ただけで見る気がしませんでした。

 で、今回の『海街diary』はそのキャストが豪華だからと話題になっています。綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずの4人が姉妹を演じます。原作のファンならまず綾瀬はるかに違和感を感じることでしょう。ショートカットの長女・幸の役なのに綾瀬はロングですし、あの気の強さ、融通の効かない頑固さ、長女としてのしっかり者らしさはあまり綾瀬のイメージではありません。

 長澤の次女・佳乃はイメージが近いですが、綾瀬との年齢差が気になります。原作の長女と次女は年齢差が7歳という設定ですが、綾瀬と長澤は2歳しか違いません。この年齢差は原作のストーリー上、とても大事な部分で、離婚した両親に対する記憶がしっかりある長女と、おぼろげな次女というキャラクターは7歳の年齢差がなければ成立しないからです。なぜこれを平気で無視できるのか、キャスティングしたプロデューサーを説教したいほどです。

 三女の千佳を演じる夏帆にはあまり文句はありませんが、原作のアフロヘアをどうしているのかが気になります。少なくとも予告編ではアフロではなかったようですが、アフロじゃない千佳は千佳じゃないしと思ってしまいます。アフロ店長との絡みはどうなるのかも気になります。

 四女・すずを演じる広瀬すずだけは納得です。若干年齢が原作より高いですが、イメージはかなり近いところにいます。こうやって考えると、やはり長女と次女のキャスティングがもっとも問題です。この映画がトップクラスの人気女優である綾瀬と長澤を共演させたことが一番の売りであることは間違いないでしょう。本来の主人公はすずなのに、まるで綾瀬と長澤の映画のような宣伝もわからないでもありません。でも原作ファンとしては「違うんだよなぁ」と思ってしまいます。

 もっとも、かつて『櫻の園』の映画リメイク版で伝説的な大コケしたことがあるだけに、またコケるわけにはいかないというプレッシャーもあるでしょう。華やかな若手人気女優を並べて派手な絵を提供して話題作りをするのも当然です。ただ『櫻の園』だって福田沙紀、杏、大島優子、武井咲などを並べたんですけどね。あれではまだ足りなかったという反省点から立脚したキャスティングなんでしょうかねぇ。


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