AKB48グループには昔から「推され」と「干され」と言われるメンバーがいます。運営側から良い待遇を受けているメンバーと、冷遇されていると思われているメンバーのことで、特に実力（ルックス、歌唱力、ダンス、演技力、トーク力など）に比べて扱いが良いと「推されている」、悪いと「干されている」と思われます。昔なら前田敦子、今なら島崎遥香などが「推され」メンの典型です。

　当然、運営側にも言い分はあることでしょう。抜擢するには理由があるわけで、それが「オーラ」だったり「将来性」だったりという、よく目に見えないわかりにくいものだけに個々のファンからすると不満が生じやすいということです。そして、その「ガス抜き」のために始まったのがシングル曲の選抜メンバーをファン投票で決める「総選挙」というわけです。

　そういう始まりだっただけに、AKBの総選挙はしばしば「干され」メンバーが躍進する番狂わせが起きます。日頃はなかなか選抜メンバーに入らない「干され」メンバーのファンにとっては絶好のチャンスですから、それだけファンの熱量が高いのです。今日開票された結果もまたそんな総選挙らしいものでした。「左遷」された指原がぶっちぎりの1位になったこともそうなら、ファンの人気は高いのになかなか良いポジションがもらえない柏木の2位もそうです。「推され」メンの代表である松井珠が5位、島崎が9位とランクを下げたのに、上海や名古屋に飛ばされている宮澤は8位と過去最高順位を記録しました。NGT48に移籍する北原の10位も自己記録更新です。

　宮澤にしても北原にしてもベテランで、かつては選抜常連だったのに、ここ２年くらいのシングル曲で選抜入りできないことが増えました。16位までの選抜入りこそできませんでしたが、1期生の峯岸が19位に食い込んだのも同様でしょう。逆に木崎、小島真など最近の若手選抜常連組は下位に沈みました。ファンにしてみれば運営に推されているメンバーを敢えて頑張って上位に押し込む意味はあまり感じられないのでしょう。

　さて、僕が5月14日に予想した今回の結果ですが、かなり当たっていました。1位指原（予想1位）、2位柏木（予想4位）、3位渡辺麻（予想2位）、4位高橋み（予想5位）、5位松井珠（予想3位）、6位山本（予想6位）、7位宮脇（予想8位）、8位宮澤（予想14位）、9位島崎（予想7位）、10位横山（予想10位）、11位北原（予想18位）、12位渡辺美（予想16位）、13位松村（予想12位）、14位高柳（予想21位以下）、15位柴田（予想11位）、16位武藤（予想20位）でした。

　大きく外したのはSKE勢の順位で、松井珠や須田（プラス元SKEの木崎）の停滞、宮澤や高柳（プラス愛知出身の北原）の躍進は、地元の身びいきが入ってしまっただけにかえって僕の目が曇ってしまったようです。トータルに見れば相変わらず選挙に強いSKE、選挙に弱いNMB、着実に伸びているHKTという傾向は変わっていません。そして未だに初期メンバーが強いというのも続いています。運営が世代交代を強引にでも進めようと若手を抜擢して「推され」「干され」を作ってしまうのも無理ありませんが、ファンはそれほど移り気ではないようです。