幹事クリタのコーカイ日誌2014

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11月9日 ● 羽生にドクターストップを。

 僕は高校時代に柔道部でした。当時はまだ学校の部活に「水を飲むな」的根性論が横行していた時代で、正しい医学知識もなく練習をしていました。柔道部というのは脳震盪がつきものです。いくら受け身を練習しても、避けられない頭部への衝撃というのはあります。練習中ならまだしも、試合中に頭を打っても、本人が大丈夫と言えば試合を続けるのが当たり前でした。公式戦ともなれば「気合」で戦うものですから、頭を打ったくらいではやめられません。

 「セカンド・インパクト症候群」という言葉を知ったのは、随分と後のことです。脳震盪を起こした後に、もう一度頭を打つとかなり危ないんだそうです。後遺症が残る危険性が高いんだとか。だから最近のフットボール系競技や格闘技系競技では、かなりこのあたりのルールが厳しくんっていて、基本的には脳震盪を起こしたらドクターストップがかかり競技をさせません。選手の命を守ることが何より最優先ですから当然のことです。何か起こってからでは遅いのですから。

 昨日のフィギュアスケートGPシリーズ中国杯。フリーの直前練習で羽生結弦が中国の閻涵と激突。どう見てもこれはヤバイだろうというぶつかり方でした。当然棄権するだろうと思ったのに、羽生が強行出場。結果はジャンプのたびに転びまくりながらも2位。男泣きをした羽生。感動的であり羽生がまた伝説を作ったとも思えます。しかし、あれはどう見てもドクターストップをかけなければならないケースでしょう。頭を打った直後に滑って、また転んで頭を打ったらどうするのか、そうじゃなくても、きちんと検査も受けずに直後にあれだけ激しい運動をして頭を高速で回転させて良いはずがありません。

 まだ羽生の状態はこれから病院で精密検査を受けるのでしょうからどうなるかわかりませんが、仮に今回無事だったとしても、今後こういう真似をする選手を出さないために歯止めをかけるべき事例だったと思います。選手が出たいと言っても、冷静に客観的に危険性を考えて止められるようなシステムを作らなければ、いつ重大な事故が起きるかわかりません。羽生が金メダリストであるからこそ、悪しき先例となってしまうことを憂慮します。閻涵だって、羽生が出るから出たんだろうと思います。羽生はそれだけ影響力がある選手なのです。

 そしてスケート連盟はきちんとこういう時にドクターストップをかけられるようなルール作りを早急にすべきだし、何度もこういう事故を起こしている直前練習のあり方を考え直すべきでしょう。さらにマスコミはこれを美談として垂れ流すことをせず、きちんと問題提起して欲しいと思います。羽生と閻涵が無事に回復することを祈っています。


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