幹事クリタのコーカイ日誌2014

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9月3日 ● 錦織の名勝負。

 昨日の全米オープンテニス4回戦、錦織圭とミロシュ・ラオニッチの試合には感動しました。お互いの良いところを出しあって一歩も引かないまさに名勝負。もともと1歳差で「次世代エース」として将来を期待されている若手同士。過去の対戦成績は2勝1敗と錦織がリードしていますが、今年のウィンブルドンではラオニッチが勝ちました。現在のランキングはラオニッチの方が少し上。これまでの生涯通算成績はほぼ互角。早くからライバル扱いされている2人です。

 プレースタイルも小柄な錦織が多彩なショットと繊細なタッチ、リターンを武器にしているのに対し、長身のラオニッチはツアー屈指のサービスとフォアの豪打、ボレーを武器に戦うという対照的なスタイル。かつてのアガシvsサンプラスのような組み合わせです。これから数年間は間違いなくツアーの中で鎬を削りファンを楽しませてくれる2人でしょう。

 昨日の試合は立ち上がりこそ錦織が硬くなったのかショットの精度が悪くミスが多かったのですが、途中からお互いに全開になりました。相手の武器を潰すのではなく、お互いの良いところを引き出し合うようなゲーム展開。ラオニッチの「矛」と錦織の「盾」ががっぷりとぶつかりあいました。スコアは錦織からみて4-6、7-6、6-7、7-5、6-4。紙一重の勝負でした。試合時間4時間19分は今大会最長。試合終了の午前2時26分は全米の大会タイ記録となる最も遅く終わった試合だそうです。選手も大変ですが最後まで見ていたファンにとっても大変な試合でした。

 これで錦織はグランドスラムでは2012年全豪以来、全米では初めてのベスト8進出となりました。しかし彼の目指すべきところはまだまだ先のはず。次は第3シード、今年の全豪チャンピオンのスタン・バブリンカが相手です。もちろん格上の強敵ですが、フェデラーやナダルと互角に戦える今の錦織なら決して勝てない相手ではありません。バブリンカは豪打の持ち主ですが、その分ミスも多くテニスも荒れやすい選手。メンタル的にも弱いところがあるので、錦織なら戦っていくうちに対応できるのではないかと思います。ぜひ準決勝に進出して第1シードのジョコビッチとの対戦を、そして勝利するところを見てみたいものです。

 なおマスコミは錦織の準々決勝進出を「日本男子92年ぶり」と強調していますが、そのこと自体にそれほどの価値があるとは思えません。オープン化前、特に戦前のテニス界は今とは全く違った環境、システムの中で行われていました。先人の偉業は称えられるべきですが、現代のテニスとは比べようにも比べられないものだと思います。錦織のすごさをテニスに詳しくない人にもわかりやすく表現しようとしているのでしょうが、長年テニスを見てきた者からすると、「92年ぶり」ばかり言われるのは違和感を覚えずにはいられません。そこじゃないんだよなぁ、とだけ、今は言っておきます。


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