幹事クリタのコーカイ日誌2014

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8月28日 ● 代ゼミの撤退。

 僕は受験生の頃、勉強嫌いの試験好きでした。コツコツと地道に勉強をして実力を上げるのは面倒だし効果もすぐには感じられないので楽しくなかったのですが、試験は勝負ですから、戦略戦術を駆使してどんな手を使っても(ルールの範囲内で)高い得点を上げることが目的ですし、それはとてもゲーム性があって楽しかったのです。受験テクニック、特にマークシート問題に関しては僕たちが共通一次試験一期生であったためノウハウがなかったので、自分でそうしたテクニックを発見してブラッシュアップしていく楽しみがありました。

 幸いなことに僕は現役合格しましたが、友人の約半数は浪人生になりました。名古屋ですから地元の河合塾が浪人生には圧倒的な人気を誇っていましたが、僕たちの時から代々木ゼミナールが名古屋に進出、真新しい校舎と東京からやってきた予備校ということで、東大や一橋、東工大、早慶志望のやつらを中心にかなりの人数が代ゼミにも流れたのを覚えています。

 大学生は暇でしたから、たくさん友達がいる代ゼミの授業にもこっそり忍び込ませてもらったこともあります。高校の授業と違って実践的で面白く、僕が自分で開発したような受験テクニックも惜しみなく教えてくれるので、これなら確かに成績が上がるだろうな、1ランク、いやうまくすれば2ランク上の大学にだって受かるかもと思ったのを今でも覚えています。それくらい代ゼミの授業は楽しく活気に満ちていました。

 あれから35年。子どもは減り、大学は増え、誰でも大学に入れる時代になりました。町に溢れていた浪人生もめっきり少なくなったようです。「三大予備校」の一角を占めていた代ゼミも時代の波と同業間の競争に敗れて、大幅な事業縮小を行うそうです。往時を知る人間としては少々寂しさを感じるニュースですが、実は代ゼミは早くからこういう時代が来ることを睨んで不動産事業への転換を考えていたそうで、閉鎖する多くの校舎もホテルやオフィスなどとして使えるように設計段階から考えてあったと聞いて、その抜け目なさに感心しました。

 衰退産業である予備校事業からいち早く撤退をする代ゼミと、寡占状態を狙って鎬を削る河合塾、駿台予備校、それに新進の東進ゼミナール。今後はますます厳しい戦いが彼らを待っているのでしょう。いまどきの大学全入の甘っちょろい受験をやっている受験生よりも、よほど予備校経営者の方が大変だと思います。


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