幹事クリタのコーカイ日誌2014

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2月22日 ● 浅田真央の涙と笑顔。

 浅田真央の最後のフリーの演技。完璧に全てのジャンプを跳び、フィニッシュを決めた後、彼女は感極まったような表情で涙を流し、次の瞬間にそれをぐっとこらえて笑顔を見せました。僕だけではなく、多くの人があの笑顔に胸がきゅっと締め付けられたことでしょう。あんなに素晴らしい笑顔は滅多に見られるものではありません。さまざまな想いがこめられた最高の笑顔でした。「ああ、真央ちゃんは有終の美を飾ったな、これで競技生活から引退できるんだな」と納得させる笑顔でした。

 ジュニアの頃からすでにアイドル的存在になっていた彼女は、常に重圧にさらされながら競技を続けてきました。度重なる採点基準の変化に対応を迫られ、自分の得意なジャンプの価値を下げられてもけなげに挑み続けました。ソチが集大成として臨んでまさかのSPでの大失敗。金メダルどころか銅メダルすら遠のいたショックから一夜明けただけで、本来のスケートを取り戻しパーソナルベストを叩き出しました。これが浅田真央だと、世界にその天才ぶりを見せつけたのです。

 浅田真央という選手は「天才のきらめき」「天性の明るさ」「時に失敗をする人間くささ」を兼ね備えています。こういうアスリートは誰からも好かれるスーパースターになります。野球なら長島茂雄がそうでした。選手としての実績では盟友でもある王貞治に劣っていても、人気とカリスマ性では長島が断然上です。

 浅田の演技の後に、SPで上位の選手たちが次々と登場し、ソトニコワ、キムヨナなどフリーでも浅田以上の得点を出した選手もいました。最終的にはSP16位から6位にまで順位を上げましたが、もはや順位も得点も関係ありませんでした。あの一瞬の涙と、その後の笑顔だけで十分金メダル以上の輝きがありました。


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