幹事クリタのコーカイ日誌2014

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2月21日 ● テレビ局のおかしな五輪中継。

 今回のソチ冬季五輪ですが、選手が勝ったり負けたりするのは勝負事ですから仕方ありません。全力で戦ってその結果なのだから、本人以外は「良かった」にしろ「残念」にしろ、あまり過剰に入れ込まずにそのパフォーマンスを楽しめば良いと思います。それより目立つのはマスコミの無理やりな盛り上げ方のひどさ。いちいち「母の死」だの「大怪我からの復活」だの「協会との確執」だの「隠された逸話」的な舞台裏の話を持ち出して「物語」を作り上げて報じるのは何とかならないのでしょうか?

 これは佐村河内と同じ手口です。彼の事件は彼だけの責任ではなく、一緒になって煽り立てたマスコミの責任でもあると、ソチ五輪を見ていて強く痛感します。視聴者はお涙頂戴式の物語が大好きで、音楽なりスポーツなりをそのまま楽しむことも理解することもできないだろうと考えているのがよくわかります。要はバカにしているのです。

 そもそもNHKのキャッチコピー「全力応援」が意味不明です。テレビ局が自ら旗を振って応援するというのは報道機関としてどうなのでしょう?本来「不偏不党」「中立」を旨とするはずなのに、堂々と応援宣言すること自体がおかしいと思います。応援するのはテレビ局ではなく見ている視聴者です。誰を応援するかは個人の自由であり、テレビ局が勝手に応援する対象を決めるのは変でしょう。

 実際、今回の中継は明らかに日本選手偏重です。もちろん視聴者には日本選手にしか興味がない人もいるかも知れません。しかしスポーツ中継というのは最高のパフォーマンスを放送するのが本筋です。予選落ちの日本選手よりも優勝争いをしている外国選手を見たい人だってたくさんいます。そのスポーツが好きなら好きなほど、下位に沈んでいる日本選手よりも世界のトップアスリートを見たいと思うものです。本来のファンのニーズを無視した中継に嫌気がさしている人も多いことでしょう。

 「物語化」と「日本人偏重放送」がひどくなったのは、メジャーリーグに挑戦する野球選手が増えたことと、Jリーグは視聴率が上がらないのに日本代表の試合はむやみと高視聴率が取れることが明らかになって以来ではないかと僕は考えています。要はこの20年くらいの傾向です。昔はもっと公平で中立なスポーツ中継をやっていました。たとえオリンピックであっても、外国選手にも相応の敬意を表していましたし、日本贔屓にも節度があって、今のような下品なほどの過剰応援もありませんでした。視聴率のためにテレビ局は報道機関としての矜持を捨てたのだと思います。と言うか、今やスポーツ中継は報道ではなくバラエティなのでしょう。残念ながら。


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