幹事クリタのコーカイ日誌2013 |
12月6日 ● 清須の青い空。 公開から約1ヵ月経った今ごろ、ようやく三谷幸喜監督の映画「清須会議」を見に行ってきました。愛知県民にとっては地元の話ですし、出てくる登場人物にもエピソードにも馴染み深いものがありますが、それだけに普通に映画にしたら単なる会議を描くだけでつまらなくなりそうな題材をよくぞここまでエンターテイメントに仕上げたものだと思います。さすが三谷幸喜というしかありません。 三谷ファンにとってはこれまでの作品よりは笑いが少なく、少々とまどう人がいるかも知れません。しかし、一見ふざけた、おちゃらけ時代劇でありながら時代考証もしっかりしているし(もちろんカリカチュアされたところもふんだんにあります)、その上で人間の持つ切なさや愛しさをきちんと描いているというあたりは、これまでの作品と同じ。三谷節炸裂なのです。 また会議を舞台にしたこの作品はいかにも演劇的です。このまま舞台劇にもできるでしょう。このあたりもいかにも三谷的なのですが、ただ舞台では再現できないのは、この映画でひとつのシンボルとして使われている清須の澄んだ青い空。この青空が良いのです。我々は映画に出てくる人物たちの行く末を知っています。秀吉と寧の、勝家と市の、利家のその後を知っているからこそ、青い空を見せただけでジーンと伝わるものがあるのです。 逆に言えば、歴史好き、特に戦国時代について詳しくないと楽しさは半減してしまう映画になっています。なにせ三谷は説明を極端に省いています。ナレーションもなければ登場人物の紹介も最低限しかありません。全く予備知識なしに見たらちんぷんかんぷんかもというくらいです。それだけに歴史が好きな人なら本当に楽しめる作品です。 ちなみに三谷の原作小説も先に読みましたが、こちらも三谷らしい仕掛けがあってよくできています。小説、映画、どちらもお薦めです。 |