幹事クリタのコーカイ日誌2013

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11月29日 ● 赤ちゃん取り違え事件。

 60年前に東京の病院で取り違えられた2人の新生児。片や裕福な家庭の長男、片や貧乏な家の末っ子。裕福な家で育てられた子は4人兄弟の長男として何不自由なく育ち、大学を出て養父の経営をしている会社を継ぎ経営者に。貧乏な家の子は2歳で養父を亡くしシングルマザーとなった養母が生活保護を受けながらも育て、定時制高校を卒業、トラック運転手となる。両家の両親が亡くなってから裕福な家では兄弟が血のつながりを疑い出し、DNA鑑定の結果取り違えが判明。ついに真の兄弟を探しだした…。

 まるで昭和の映画かマンガの世界のような話ですが(山口百恵主演のドラマ「赤い運命」を思い出します)、これが現実に起こったということが驚きです。よくぞまあこんな絵に描いたような「ベタ」な設定が現実にあったものです。裁判の結果、貧乏な家庭で育てられた方は病院から賠償金を受け取れることになったそうですが、苦労して生きてきた人生の大半の時間はお金では戻ってきません。

 また逆に裕福な家で育った人も、兄弟に疑われるというくらいですから家族との繋がりを断ち切られてしまい、寂しい老後になりそうです。どちらにとっても不幸な事件です。真実を知ったことが本当に良かったのかどうかも疑わしく思えるような話です。なにせ経済的な問題だけではなく、家族の絆も含めてこれまでの人生そのものが足元からひっくり返されたような話ですから。

 この事件でキーワードとなったのが「大学への進学」というのもまた時代を感じさせます。片や4人兄弟がみんな私学から大学へ進み、片や中学卒業後に就職、定時制高校に通いました。いま60歳ということは僕より7年ほど先に生まれた人たち。当時は大学進学率が低く裕福な家庭ならともかく、一般の家庭ではまだ大学は「勉強ができる子が行くところ」でした。大学進学率も4人に1人の時代。今では2人に1人が大学進学します。

 出生率が高く、病院の管理もアバウトで取り違えられることも多かったらしいですし、貧富の差も激しく、今よりも金持ちは金持ちらしく、貧乏人は貧乏人らしかった時代です。いろいろと「昭和」を感じさせる事件です。



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