日本シリーズ第６戦。楽天の先発は予定通りに田中。ポストシーズンも含めて昨年夏から３０連勝中。当然、この試合でも完投勝利、地元仙台で楽天の日本一達成、胴上げ投手になり有終の美を飾って来季はメジャーへ、という「マーくん伝説」が完結するはずでした。実際、楽天が２点を先制した時にはもうこれで決まったなと思ったものです。

　ところが勝負は本当にわからないものです。先制点をもらってこれで田中が気が抜けたとも思えないのですが、同級生坂本のフェンス直撃の２塁打を皮切りにロペスのホームランなどで一気に逆転されてしまったのです。さらに次の回に１点を追加されて４失点。あれれ、という展開になりました。

　田中が投げる時には５点を取る楽天打線も昨日ばかりは菅野の前に沈黙。ヒットすらなかなか打てません。最後は山口とマチソンにあっさりと抑えられてしまい、日本一決定どころか巨人に「逆王手」をかけられてしまいました。日本中が期待した伝説完結のはずがグダグダになってしまって、「巨人空気読めよ」という声が日本中から起きたと思います。

　なにより楽天にとってまずいのは昨日巨人打線を眠りから目覚めさせてしまったこと。特に坂本とロペス。この２人がすっかりシーズン中の元気を取り戻してしまいました。高橋も良くなったし、長野や村田はもともとちゃんと打っていたので、取り残されているのは阿部だけです。ただ巨人打線は１人くらい不調でもカバーできてしまうので、阿部が眠ったままでも破壊力は十分。逆にジョーンズとマギーの主砲２人がダメダメな楽天打線の方がヤバイです。

　最終戦の先発は美馬と杉内。前回は全然ダメだった杉内ですが、本来の力を発揮すれば楽天打線にそれほど点を取られることはないでしょう。そして田中を打ち崩したことで自信を取り戻した巨人打線が美馬に襲いかかる図は容易に想像できます。なにより楽天は絶対のエース田中で試合を落としたショックをひきずってしまいそうなのが怖いところ。田中もいつか負けるとは言え、その負けがこの大一番だったというのは痛恨でしょう。空気の読めない巨人が連覇を達成するのはあまり見たくないのですが、その可能性が濃厚になってしまいました。