幹事クリタのコーカイ日誌2013

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9月28日 ● シャラップ!

 先日、有明で開催されている東レ・パンパシフィックオープンで2回戦負けしたクルム伊達公子がコート上から観客に罵声を浴びせました。自分がダブルフォルトを犯した時に観客が「あー」とがっかりしたら「シャラップ!」「ため息ばっかり!」と叫んだのです。彼女のブログでも大会前に「プレーが気持ちよくできるように、ため息のないサポートをお願いします」と呼びかけていたのに、観客のため息の連続に感情がコントロールできなかったのでしょう。特にこの日は雨でセンターコートの屋根が閉じていたので、余計に観客の声が響く状況。イライラが募ったのもわからないではありません。

 ただ、だからと言ってファンに向かって「シャラップ!」はありません。以前にも国連で日本代表が「シャラップ!」と繰り返して発言して物議を醸しましたが、これはかなり強い乱暴な言葉。「静かにして」ではなく「うるせえ、黙りやがれ」くらいのニュアンスです。お金を払って応援に来てくれている観客に対して失礼極まりないし、プロとして失格でしょう。伊達は欧米に比べて日本のファンの観戦の質が上がってこないということを言っていますが、それは八つ当たりというものです。相手のストーサーも「ため息はどこの国にもある」と言っているように、むしろ全体としてはマナーの良い観戦をしているのは日本のファンだと思います。

 恐らく伊達は母国であるがために日本のファンに甘えているのでしょう。外国ならマナーの悪いファンがいてもぐっと堪えるところを、つい日本だからこそ安易に切れて暴言を吐いてしまう、母親に甘えてわがままを言う子どもと同じです。だいたい、ため息をファンにつかせるようなプレーをしている自分が悪いのだし、自分が良いプレーをすればどの国のファンだって盛り上がって応援してくれるはず。それは伊達がグラフに勝った1996年のフェド杯で経験しているのに、それを忘れてしまったのでしょうか。

 ファンあってのプロスポーツです。たとえ仮にアウェイで敵の応援であっても、まずは見にきてくれる人がいなければ興行は成り立ちません。甲子園球場のタイガースファンのヤジに比べたら、ため息なんていかほどのものでしょう。関西出身の伊達にはもう一度それを思い出してほしいものです。トップ選手であり日本テニスのリーダーであるべき伊達のこの言動がさほど大きく報道されないのは、テニスが日本ではマイナースポーツだからです。いろいろな意味で残念な出来事でした。



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